2011年6月1日水曜日

国家公務員給与10%カットは財政赤字と貧困をさらに拡大する?

木村建一@hosinoojisan
 
国家公務員給与10%カットは財政赤字と貧困をさらに拡大する?
 
 
 今日は、孫娘たちが帰ってきた。
 ブログを書こうとしたら起きてきて、書くことができなかった。
 時差の影響と思われる。
 やむなく諦めたところである。
 
 公務員の給与問題で、考えさせられる記事があったので、記録しておきたい。
 
国家公務員給与10%カットは財政赤字と貧困をさらに拡大する-財政赤字を2倍にした構造改革と同じ道
2011年05月29日18時06分 BLOGOS
http://news.livedoor.com/article/detail/5595102/
 
国家公務員一般労働組合 プロフィール
 私も大好きな映画監督のマイケル・ムーア氏が、今年の3月、ウィスコンシン州でおこなわれた公務員労働者の団体交渉権剥奪に反対するデモの中で、要旨次のようなスピーチをしています。
  アメリカは破産なんてしていない
  アメリカの財政は破産しているのではなく、
  富が少数の者に強奪されているだけ
  課税などによる富の再配分をすればいいだけのこと
  (マイケル・ムーア氏)

 権力者が労働者に信じさせようとしているのは、アメリカは多額の財政赤字で破産しているから、「年金受給はあきらめるしかない」とか、「賃金のカットもしょうがない」とか、「曽祖父母たちと同じ昔の生活水準で我慢するしかない」などということです。
 しかし、アメリカは絶対に破産なんてしていません。富を一部の人間や企業などが独占しているだけです。そのつけを労働者にまわしているだけです。
 アメリカは富と現金であふれかえっています。ただその富と現金は私たち働くものの手元にないだけなのです。その富と現金は歴史上最もひどい強盗によって、労働者や消費者から銀行と金持ちのポートフォリオへと送金されているのです。
 たった400人の超リッチな者の富が、アメリカ全国民の半数の富の総計に匹敵するという歪みきった国がアメリカなのです。
 アメリカの財政は破産しているのではなく、富が少数の者に強奪されているだけなのです。課税などによる富の再配分をすればいいだけのことなのです。
 ――以上が、マイケル・ムーア氏のスピーチの要旨です。日本でも公務員労働者の基本的人権である労働基本権(団結権・団体交渉権・争議権)を侵害して一方的な国家公務員給与10%削減が強行されようとしています。マイケル・ムーア氏が指摘していることは、富の独占の程度の差こそあれ、日本にもほぼあてはまると思います。
 メリルリンチ証券の「第13回ワールド・ウエルス・レポート」によれば、不動産を除く金融資産だけで100万ドル(約9千万円)以上の富裕層は、2008年末時点で世界に860万人存在し、国別では1位がアメリカの246万人、2位が日本の136万人となっています。日本の富裕層が持つ金融資産は合計3.2兆ドル(約290兆円)で、そのうち3千万ドル(27億円)以上の金融資産を持つ超富裕層は日本に5千人存在しています。メリルリンチ証券の調査によれば、近年、日本の富裕層は毎年5%ずつ急速に増加しているとのことです。
 そして、アメリカの経済誌『Forbes』(フォーブス)が2010年1月に発表した「日本の大富豪40人」によると、日本の富豪上位40人の資産総額は2009年2月時点の6兆2,500億円から2010年1月の8兆7,000億円へと、この1年間で、金額にして2兆4,500億円もの増加、率にして約4割も資産を増加させています。失業と生活苦による自殺が急増した同じ時期に、日本の富豪上位40人はたった1年の間に約4割も資産を増大させているのです。
 マイケル・ムーア氏は、「1980年には米国の平均的な最高経営責任者は従業員の45倍を得ていた。2003年には自社従業員の254倍を稼いだ。8年のブッシュ時代が過ぎて、今では従業員の平均給与の400倍を得ている」と指摘していますが、日本でも企業トップの報酬と労働者の給料を比較すると最高で年収格差500倍という数字が出てきます。(※
過去エントリー「年収格差500倍、トップの報酬vs社員の給料」参照
 また、『日本経済新聞』の2011年4月10日付朝刊5面「けいざい解読(編集委員・土屋直也氏)」によると、「ピラミッドの頂点にある大手企業の手元資金は潤沢だ。法人預金額は100兆円を超える。だが、下請け企業群となるとコストカット要求のなかで資金面での遊びは薄い。被災企業の手元に再建資金は乏しく、間接被災企業は操業停止中の給与支払いなど運転資金に窮している。」とのこと。「大手企業の手元資金は100兆円を超えている」のですから、「内部留保」を指摘するまでもなく、「大手企業の手元資金100兆円」の一部を震災復興財源へ活用可能なのです。マイケル・ムーア氏の言葉を借りれば、日本の財政は破産しているのではなく、富が大手企業に強奪されているだけなのです。課税などによる富の再配分をすればいいだけのことなのです。
 そもそも財務省などが先頭に、日本の財政赤字が「孫子の代まで借金漬け」であるかのように描き出していますが、本当なのでしょうか? 
国公労連のブログ「くろすろーど」で、「どうみる?日本の財政赤字」と題して、山家悠紀夫さんにロング・インタビュー
を行っていますので、山家さんのお話の最初の部分をダイジェストで以下紹介しておきます。
【※山家悠紀夫(やんべ ゆきお)さんのプロフィール = 第一勧銀総合研究所専務理事、神戸大学大学院経済学研究科教授を経て、現在、「暮らしと経済研究室」を主宰】
 財務省は、国の財政赤字が2010年度末に637兆円まで増え、「我が国を、月収40万円の家計にたとえると」「ローン残高6,370万円」になるとしています(財務省「日本の財政関係資料」2010年8月版)。額面どおりに受け取ると、まさに孫子の代まで借金漬けですが、本当にそうなのでしょうか?
 財務省は、この十数年来、国の財政を家計にたとえて大変な状況だと説明しています。しかし、これは「誇大広告」のたぐいです。加えてこうした説明は、国の財政に対する一面的な見方を国民の間に広げ、日本の進路を間違った方向に導きかねない危険性も持っています。

 ◆家計でも借金だけ見るのは間違い
 そもそも、家計の問題を考えるときでも単純に借金だけを見るのは間違っています。家とか土地とか金融資産などがどれくらいあって、一家としてのバランスシートはどうなのかを見ないといけないのです。
 たとえば、住宅ローンを借りて家を建て借金が1千万円ある家計と、持ち家などは無いけれど借金はまったくない家計を、借金の金額だけを問題にして比較するのは、おかしな話になってしまいます。
 国の場合も同じで、借金が多いことだけを問題にするのは一面的な見方なのです。借金だけではなくて、資産の方も見なければいけないのです。
 ◆日本は「世界一の金あまり国」

画像1
 上の図は、2010年3月末時点の「日本政府のバランスシート」です。この図にあるように、日本政府は、世界一の金融資産482兆円を持ち、いろんな固定資産等491兆円も持っていて、日本政府のバランスシートは借金と資産がほぼ同じで、借金は97%まで資産で担保されています。
画像2
 上のグラフは、「主要国の国内余剰資金」です。このグラフにあるように2009年末で、日本の国内余剰資金は266兆円もあって、日本は「世界一の金あまり国」でもあります。他の国の余剰資金は、2位が中国167兆円、3位はドイツ118兆円で、日本はドイツの2倍以上、他の国の何倍もの余剰資金があるのです。「世界一の金あまり国」というのは何を示しているかというと、日本政府は大きな借金を抱えているけれども、まだお金が借りられる条件があり、日本経済には貸す力があるということなのです。
 ◆事実は「孫子に資産を残す」
 ですから、マスコミなども「孫子の代まで借金を残していいのか」などと「誇大広告」をしますが、事実は、子どもや孫たちに借金だけを残すわけではなくて、あわせて金融資産や固定資産をきちんと残すことになるのです。
 日本の財政問題を考える際に、「借金だけ」を取り出して議論する人を見かけたら要注意です。財政の問題を考えるときは、借金と資産の両方を同時に見なければ、議論の前提自体を間違えます。
 ◆単純には比べられない国の財政と家計
 国の財政と家計はそもそも性格が異なるということを、きちんと認識しておかないとおかしな議論になりますので注意が必要です。
 当たり前の話ですが、家計というのは収入が限られていて、収入を簡単に増やすことはできませんから、その収入の中で暮らしていかなければなりません。家計では、まず収入の方が先にあって次に支出の方を考えることになります。
 ところが政府というのは、家計とは性格が違います。そもそも政府をなぜ私たちが持っているかというと、市場の世界だけでは供給されない公共サービスなどを国民に提供させるためです。
 ◆すべての国民の暮らしを守るために政府はある
 たとえば、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」、「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と憲法25条に明記されているように、政府はすべての国民に生存権を保障しなければなりません。あるいは、教育などもそうですね。政府はさまざまな公共サービスを国民に提供する役割があるのです。
 ◆政府の役割抜きに借金だけを問題にするのは本末転倒
 そうすると、政府というのはさまざまな公共サービスを提供する役割が最初にあって、そのために税金を集める必要があるということになります。政府の果たすべき役割からスタートする必要があるから、出す方(支出)が先で入る方(収入)は後で考えるという順番になり、家計とは逆転して考えなければいけないのです。それなのに、家計にたとえてしまうと、政府の大切な役割はどこかに消えてしまって、「とにかく借金をなくさなければいけない」という話だけになっていってしまう。政府の大切な役割として、これだけのサービスを提供する必要があるから、税金を集めなければいけないのだけど、足りないとなれば当面は借金をしてでも政府のやるべきことをやっていくと考えるべきなのです。こうした政府の役割の問題を抜きにして、借金だけを問題にする本末転倒した議論が非常に多くなっていますね。
 ◆「いますぐ国の借金を返さなければ大変だ」という「脅し文句」は社会保障費の削減や消費税を増税するための口実にすぎない
 それから、マスコミなどで、「いま生活は厳しいけれど、自分たちの世代の責任で国の借金を返さないと子どもたちに迷惑をかける」などという論調も見受けられますが、これも国の財政と家計を同じように考えている間違った議論です。
 住宅ローンなどの家計における借金は、一般的に借りる本人が子どもには残さないよう全額返すことを前提にしてローンを組みます。しかし、そもそも政府には寿命がありませんし、借金の全額を返さなければいけない期限もありません。事実、日本以外の国でも、借金を全額返したという国はなく、国の借金があること自体は問題ではないのです。
 もちろん、現在の大きな借金のままでずっといいというわけではありません。しかし、「いますぐ返さなければ大変なことになる」などといった「脅し文句」は、社会保障などの公共サービス削減や国家公務員の人件費削減、そして、消費税増税のための口実でしかありません。
 ◆日本がギリシャのようになる? 10年ほど前は「アルゼンチンのように財政破綻する」 「脅し文句」は、社会保障などの公共サービス削減や国家公務員の人件費削減、消費税増税のための「誇大広告」
 なんとかして消費税を増税したいと考えている人たちにとって、ギリシャは格好の宣伝材料になったようです。
 しかしこれも「誇大広告」のたぐいで、10年ほど前の政府も、当時はアルゼンチンが財政問題を抱えていて、「アルゼンチンのように財政破綻する」と言っていたのですが、10年経過しましたが日本は財政破綻していませんね。

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 ◆日本は財政赤字の担い手が違う
 今回も、ギリシャのようになることは絶対にありません。なぜなら、日本とギリシャとでは財政赤字の担い手がまったく違うからです。
 ギリシャの場合、国内にお金がなくて、財政赤字をまかなうための国債の約70%を海外の投資家などに買ってもらっていました。ところが政権が替わったときに財政赤字が隠されていたことなどが判明したこともあって、海外の投資家がこんな危ないものは持っていられないとギリシャ国債を売りに出しました。そして、国債が値下がりし、買い手もいなくなり、お金が調達できなくなってギリシャは経済危機に陥ってしまったのです。
 ◆ギリシャとまったく違う日本――国内でまかなう国債、なお世界一の余剰資金
 しかし、日本の国債は約95%を国内の金融機関などが持っています。それでもなお、日本国内には世界一の余剰資金があります。2010年3月末で263兆円も国内余剰資金があるのですが、それだけでなく、毎年10~20兆円の余剰資金が生まれています。フローで見ても年間に新しく借りた額よりも貯蓄した額の方が多いのです。この資金は、日本の貿易収支(輸出から輸入を引いた額)が毎年黒字であることや、海外からの利息収支が入ってくることによって生まれています。
 ギリシャは政府も赤字、国全体としても赤字がずっと続いていました。国債は国内でまかない、それでもまだ国内に世界一の余剰資金を持つ日本とはまったく違うのです。そもそも投資家が日本の国債を売らないことを見てもわかることです。
 ◆「国は財政赤字で大変だ」は、消費税増税や社会保障削減、「小さな政府」づくりのための「呪文」
 政府が財政赤字をことさら大きく問題視するのでしょうか?
 政府や財務省は、消費税増税を実行に移すチャンスをうかがっているので、「財政赤字は危機的だ」と国民に思わせた方が消費税増税をやりやすくなるというのが一番の理由です。
 加えて、「小さな政府」づくりの口実にして、社会保障をはじめ、いろいろな公共サービスを削減したり、国民の負担だけを増やしたりしやすくなるからです。公務員の人件費削減もそうですね。なかば「呪文」のようなもので、「国は財政赤字で大変だ」と言えば、公共サービス削減も仕方がないかと国民をあきらめさせ、黙らせることができるというわけです。
 ◆財政赤字を口実として、国民に痛みを強いた上、むしろ財政赤字を2倍以上に拡大
1997年に、橋本内閣が「財政構造改革元年」を宣言しました。当時、橋本内閣も財政赤字が「危機的状況にある」(橋本内閣が制定した「財政構造改革法」第2条に明記)として、すぐにでも日本の財政は破綻するかのようなことを言っていました。そのときの国債残高は250兆円程度で現在の半分以下でした。現在、その額は2倍以上になったわけですが日本は破綻していませんね。
 問題の本質は、財政赤字を口実として、国民に痛みを強いた上、むしろ財政赤字を拡大してきたことにあります。財政赤字を口実にして消費税を3%から5%に増税し、医療改悪なども行った橋本内閣や、財政赤字を口実にして、社会保障費を毎年2,200億円も削減した小泉内閣は、財政赤字をなくすと言いながら、国民に痛みを強いて内需を冷え込ませ、税収が減少するなどで、結果的にむしろ財政赤字を大きく拡大してしまったのです。
 財政赤字を口実として国民に痛みを強いてきた政府のやり方が、貧困問題の深刻化など国民の暮らしを壊すとともに、財政赤字そのものも大きく拡大してきたということを、私たち国民はしっかり認識しておくことが大切です。
(byノックオン。ツイッターアカウントはanti_poverty)
 時間がないので、後日検討しよう。
 
・・・・本日は、これまで・・・

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