2011年8月10日水曜日

フクシマの情報公開怠り住民被曝--NYタイムズ。    米国債格下げは「終わりの始まり」

木村建一@hosinoojisan



フクシマの情報公開怠り住民被曝--NYタイムズ



米国債格下げは「終わりの始まり」



 朝日新聞の報道によると、NYタイムズが、日本政府に強烈な批判を行っているようである。

 SPEEDIのシュミレーション結果を隠ぺいしたことが、住民被ばくを拡大したものと指摘しているが、これは、指摘されるまでもないだろう。

 くしくも、菅首相は、本日および、6日の原爆犠牲者追悼式典で、きれいごとを述べているようだが、「被爆することが明らか」にも拘らず、事実を、「パニックが起こる」と称して、事実を隠ぺいしたことは、菅首相自らが、「加害者」となったという事を自覚すべきであろう。(以下に記事を記録しておく)

 さて、アメリカの国債格下げ問題で、政府や経済界は、右往左往しているようだが、これは、ある意味では、「資本主義経済」の限界を示したものと見るべきであろう。

 「ドル基軸通貨」経済の破たんであり、新しい通貨・経済システムが求められていると言えよう。

 残念ながら、政府・財務省・日銀や、経団連等は、依然とアメリカの腰ぎんちゃくの姿勢を変えていないが、これでは、アメリカと一緒に心中することとなろう

 日本経済を活性化させるためには、新しい経済理論を取り入れる必要があろう。以下に、参考になるレポートを2本記録しておきたい。

 昨日の浜教授と同じスタンスと思われるが、この方向へ、大きく舵を切る必要性があると私は考えている。

 朝日新聞や、毎日新聞等、マスメディア各社も、真剣に検討すべきではあるまいか?



「フクシマの情報公開怠り住民被曝」 NYタイムズ報道

2011年8月10日1時45分 朝日新聞WEB

http://www.asahi.com/international/update/0810/TKY201108090700.html

 東京電力福島第一原発の事故をめぐり、米ニューヨーク・タイムズ紙は9日付紙面で、日本政府が緊急時迅速放射能影響予測(SPEEDI)のデータを事故直後に公表することを怠ったために、福島県浪江町など原発周辺自治体の住民らが被曝(ひばく)している可能性が高いと伝えた。
 長文の記事は、菅政権との対立で4月に内閣官房参与を辞任した小佐古敏荘・東大大学院教授が、事故直後にSPEEDIのデータ公表を政府に進言したが、避難コストがかさむことを恐れた政府が公表を避けたと指摘。「原発事故の規模や健康被害のリスクを過小評価しようとする政府に対し、社会の怒りが増大している」と論評した。
 そのほか、原子炉のメルトダウンを裏付けるデータ公表の遅れや、校庭での放射性物質の基準値をめぐるぶれなども問題視した。(ニューヨーク=田中光)

☆☆☆☆☆☆

経常収支の不均衡の拡大、米国の「涙のない赤字」がついに限界に来た

~米国債格下げが意味するもの

――三國陽夫・三國事務所代表/エコノミスト

- 11/08/09 | 17:43 東洋経済

http://www.toyokeizai.net/business/interview/detail/AC/2855060d21d8207c6fb02b5cf0c53959/

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 スタンダード&プアーズが米国債の格付けをAA+に引き下げた。初のAAAの座からの陥落である。日本に格付けを導入した三國事務所の三國陽夫氏は、米国の赤字垂れ流しと日本の経常黒字累積という世界の不均衡が、日本の低成長とデフレの原因であり、是正を迫られる時が来る、との主張をしてきた。三國氏に話を聞いた。
――米国の格付け会社スタンダード・アンド・プアーズがついに、米国債をAA+に格下げしました。AAAから初めて転落したわけですが、これをどのように見ていますか。
 これまで世界をリードする立場にあった米国の役割に陰りが出ていることが誰の目にも明らかになった。政府は歳出を削って歳入の増加を図らなければならず、これは経済成長には重荷となる。
 緊縮財政と景気後退の悪循環に陥る可能性がある。世界経済に占める米国のウエイトは大きいので、いかに世界経済の縮小を避けるかという問題に世界が直面している。
経常黒字国の外貨保有が米国の赤字を穴埋めしてきた
――ドルは基軸通貨の地位を失うのでしょうか。
 基軸通貨の原点は、かつては米国が経常黒字国で債権国として金を多く保有していたことにあった。しかし、経常収支が恒常的な赤字となり、この原点は崩れていった。
 つまり、いまの事態に至る原因として、長年続く国際収支の不均衡とそれに伴う資本移動があった。この構造が過剰流動性を生み、バブルにつながった。
 1971年のニクソンショックでドルと金の交換が停止された。この時、大統領補佐官であったヘンリー・キッシンジャーは、「欧州はドルを売って自国通貨に替えていくだろう、他の国はドルを抱えに来るだろう」と言った。その通りに欧州は統一通貨ユーロ創設へ向けて動き出した。
 金とのつながりがなくなっても、ドルが基軸通貨としての地位を保てたのは、黒字国が自国通貨に転換することなく、ドルのまま外貨準備として米国に還流させたからだ。これにより、米国の赤字を穴埋めするので、米国は貿易の不均衡を是正しようとしない。これはかつてフランスのド・ゴール大統領の経済顧問だったジャックリュエフが「涙のない赤字」と批判したものだ。
 米国は赤字を垂れ流し続け、借金を重ねた。海外からの資本輸入を行い、消費を拡大することで、成長してきた。住宅バブルはその典型で、借金して住宅投資を行い、住宅の値上がりによってさらに消費を拡大するというものだ。
 こうした手法が限界にきた。一方で、日本は経常黒字を続け、キッシンジャーの読み通りに、ドルを抱え込んだ。多額の資本を海外流出させ、その結果、デフレ、円高が進んでいる。
 買い物ができなくなった米国は誰も支えなくなっていくだろう。変動相場制の下では、結局、基軸通貨は存在しなくなる。これから、皆が、ドルを自国通貨に置き換えていくドル離れの動きが進むだろう。
 格付け会社は、米国経済の過剰債務の実態に照らして、もっと早くから警告を発しておかなければいけなかった。
経常黒字が蓄積していき、日銀の金融緩和効果も限界に
――日本の円高、デフレは経常黒字の累積がもたらしたものだと一貫して、主張してこられました。
 経常黒字=資本輸出ということであり、これには2つの効果がある。まず、購買力を海外に持っていくということだ。その分、国内経済活動が減るということだ。
次に、円をドルに交換してしまうので、日銀当座預金が不足する。購買力の低下と、流動性の不足が国内の消費や投資を減らし、それがまた、所得の減少を通じて消費や投資を減らすというマイナスの乗数効果が働き、デフレ圧力となる。
 これを抑えるために、日銀が金融緩和を行ってきたが、経常黒字が集積していくにしたがって、その効果が薄れていく。限界に達すると、金融緩和策は効かなくなる
 これが、ゼロ金利のもとで、法定準備預金を超える準備預金が日銀の口座に置かれたままになるいわゆる「ブタ積み」や30兆円あると推定される家計の「タンス預金」の背景だ。
 戦後の日本は、円が1ドル=360円、1ポンド=1008円から出発した。いま、円の価値は対ドルで5倍近く、対ポンドで10倍になった。これだけ円高になったのは外貨を稼ぐという政策が成功したということだ。
 変動相場制のもとでは、輸出政策が成功すれば円高になるのは当たり前のことだ。ドルを円に換えずに、ドルのまま置き続けると前述のように、デフレ・低成長になる。1ドル=70~75円になれば、米国と日本の賃金がほぼ拮抗するので、輸出はできなくなってくる
 日本は円高の下でもコストダウンを続けて輸出をしている。ドルを持ち続けて支えているから苦しい。これを支えるために、平成の借金王とされる小渕首相時代には、公共工事で財政赤字を膨らませた。一方、米国は輪転機を回してマネーゲームで稼いだ。いまは輪転機どころかキーボードを叩くだけという状態だ。
輸入の拡大とTFP(全要素生産性)の引き上げが求められる

――今後の日本に求められる対応策は。
 日本の将来については、私は強気の見方をしている。現在、円高の進行や原子力発電の停止による電力供給の制約で、米国への輸出が減り始めている。これは大きな変化だ。米国は消費を抑えて、借金の返済に努力せざるを得ず、日本は供給力に限界が生じて輸入を増やさざるを得ない。
 つまり、アジアの供給力に対して、日本が買い手に回るということだ。円高を生かして輸入を大きく増やすことで、消費拡大、内需拡大を進めて行く。こうした変化により、経常収支が均衡に向かい始める。日本は所得収支の黒字が大きいので、経常赤字にはなかなかならないが、貿易赤字がこれを消していく方向だ。
 これを企業の競争力の面から考えると、日本のような先進国の企業は、コストダウンという方法によってではなく、プライシングパワー(価格設定権)を増すことによって、競争力の強化を図るべきだということだ。そうすれば、中国を意識して人件費を切り下げるという必要がなくなる
 日本の輸出企業はまだ、先進的な技術を保持している。円建てで取引を行い、価格設定ができる企業もあるはずだ。厳しい日本の消費者の需要に応えることで、そのようなビジネスをつくっていくべきだ。
 液晶テレビからの撤退の動きは当然のことだ。他の国でも作れるようなものを作っていたのでは、利益は出ない
 労働人口が減るから、日本は成長しないという議論が盛んだが、経済成長の条件は人口が増加するか、生産性が上昇するかだが、生産性の上昇という点で重要なのはTFP(total factor productivity、全要素生産性)だ。すなわち技術革新の部分だ。
 アップルは300ドルで売れるiPodを中国などの下請けで20~30ドルで作らせているから、儲かる。米国の企業は創造性の部分で付加価値を挙げている。
 もともと日本には、江戸時代に見るように、庶民文化から貴族文化まで質の高い文化がある。質の高い食や漫画・アニメなどが海外から高く評価されている。日本の輸出企業が世界を席巻したのも、日本の消費者の厳しい評価を受けたものを輸出したからだ。
 日本の企業は高齢化の進展の中で、日本の消費者の評価を受けながら、「生産する」から「創造する」に変わっていく必要がある。輸入にはこうした改革を進める効用もある。
 かつて戦国時代に日本の大名は金銀を保有していたが、江戸時代初期に中国から白生糸を輸入して、豪華な着物を競ってつくった。この呉服産業で成功したのが、尾形光琳の実家・雁金屋だ。
 そのうち、金の保有量が半減し、白生糸は輸入禁止となるが、その後、白生糸の国産化に成功し、白生糸は明治から昭和初期にかけて、日本の代表的な輸出品目となった。
 企業が急激な円高に耐えられず、どうしても通貨の切り上げはできないというのなら、日本政府が米国政府に対して債権放棄を行うしかない。ケインズは「平和の経済的帰結」で「2国間の巨額な債権債務は決済されることがない」と指摘している。
みくに・あきお
 1963年東京大学法学部卒業、同年野村証券入社。75年野村証券退社、同年三國事務所を設立し代表取締役就任。2002年4月から04年3月まで経済同友会副代表幹事。09年末に格付け事業を終了しコンサルタント業に。著書は『円デフレ』『黒字亡国』など多数。
(聞き手:大崎 明子 撮影:吉野純治=東洋経済オンライン)

★★★

米国債格下げは「終わりの始まり」かドル凋落が止められないリスク

――熊野英生・第一生命経済研究所 経済調査部 首席エコノミスト


2011年8月10日  DIAMOND ONLINE
http://diamond.jp/articles/-/13530
歴史は繰り返すか
 8月6日にS&Pが米国債を格下げした。史上初めて最上位AAAの喪失である。その扱いに対する米政府などの不満は強く、正当性を疑う声もあるだろう。
 筆者の脳裏に浮かぶのは、1998年11月に日本が初めてAAAを失ったときのことだ。格下げしたのはS&Pではなくムーディーズ。経常黒字国の日本では、国内貯蓄によって国債消化ができる。
 デフォルト・リスクはないので、格下げの評価は正しくないという反論が多かった。
批判の矛先は、デフォルトの有無に集中し、政府の財政運営の反省には至らなかった。

 それから十数年が経過して、日本のソブリン格付けは一時の改善はあったものの、下がり続けている。いや、政治サイドが財政規律を重視する考えに舵を切らないと、まだ引き下げられる可能性がある。
 米国でも、1998年の日本がそうだったように、現時点では「これは不当だ」「今回は特殊だ」と言っていても、数年の時を経て、長期化する財政問題の「あれは終わりの始まり」だったということになりかねない。
 米国の債務問題は、債務上限を巡る一過性のドタバタ劇ではなく、これから米国が低成長の中で苦しみ続ける構造問題になっていくという見方だ。
米国の格下げ懸念はドル安要因
 米国債の格下げの危うさは、世界のマネーフローを狂わせる流れをつくりかねないことだ。米国債の約半分は、海外が保有する。2000年代に入って、グローバル・インバランスの拡大とともに、新興国は巨大な外貨準備を蓄えた。
 その運用資産の少なからぬ部分が米国債になっている。ドルは基軸通貨国の通貨なので、デフォルトは起こり得ないにしても、新興国はドル安による減価リスクを心配するだろう。
 減価リスクは、米国の貿易決済をドルで行なっているうちは感じなくても、対ユーロ・対円で取り引きするときは外貨準備の購買力低下を実感する。だから、外貨準備をドル以外に分散させる流れは強まるであろう
 外貨準備の分散が進むとき、円高やユーロ高が今以上に進むほか、金や原油などの商品価格が上昇する影響が起こる。それから、資源・穀物インフレに触発されて、新興国は金融引き締めを強化するので、新興国通貨が上昇する。
 それは、ドル安傾向を助長させることでもある。すでに、ドル安円高が進行する流れは、金価格の上昇と連動した動きになっている(図表1参照)。原油市況も、長い流れで見ると、微妙に金価格とオーバーラップする動きである(図表2参照)。

 一方、人によっては「ドル保有を減らそうとしても、ドル以外に運用先がないので、何も変わらない」と言うだろう。確かに、一気に劇的な変化が起こらなくとも、時間が経過すると通貨分散・投資先多様化は着実に進む。
各国金融政策は
囚人ジレンマに陥るリスク
 複雑骨折しているのは、2008年のリーマンショックの後の経済対策で、日米欧ともに通常の景気刺激策を打ち尽くした感があることだ。米国の政府債務も、オバマ政権が登場して、財政政策を積極化させて景気が十分に拡大しなかったから、負の遺産として膨らんだと理解できる。
「財政政策がダメならば金融政策で」というなりゆきだが、金融政策の方も、低金利誘導が限界に達して、国債など資産購入でマネーの総量を増やすしかない。先日8月4日は日銀が資産買入基金を10兆円増枠し、ECBも国債買取再開を打ち出すかたちで、マネーの総量を増やす対応に踏み切った。
 これで、FRBがQE3に踏み切っていざ国債購入だという反応になると、日米欧が通貨切り下げへの競争に駆り立てられることになりかねない。日米欧が一斉に金融緩和を行なうと、為替変動を通じて日欧の景気刺激効果が消えてしまうという「囚人のジレンマ」に陥る。
日米欧とともに低成長が問題
 日米欧が共通して財政問題に苦しんでいる姿を見て、筆者は財政再建を進めるための本質的処方箋は別にあると見ている。
 たとえば、米国は大統領と議会が対立して、歳出削減の上積みをどこまで進めるかで揉めているが、歳出カットばかりやっても財政収支は大きく改善しない。財政赤字は、民間経済が成長して税収が持続的に伸びるときにしか縮小しない
 政治ショーのようなかたちで歳出カットを競っても、本質的解決にはならないし、格付機関が歳出カットが不十分だから格下げだという議論もいずれも本筋から外れていると考える。
 達観して見れば、マクロの財政問題は景気がよくならないと解決が見込めない。重要なのはその基本線に、景気がよいときに増税を怠り、景気が悪くなると歳出拡大に走るという政治的バイアスが加わっていることだ
財政再建は、経済成長と財政規律の2つが噛み合って初めて成功する。

 日米欧の雇用拡大の状況を見れば、どの国もリーマンショック後にかつての勢いを失っていることがわかる(図表3参照)。米国の雇用回復は、移民の効果など もあって、日欧よりもまだましかもしれない。しかし、いずれも2000年代のブームが終わって2010年代初頭は低成長を余儀なくされるだろう。
 その低成長の結果として、米国・欧州でも日本の後を追うように財政問題が長引きそうだ。(完)


 これらのレポートを検討すれば、あの、ベルリンの壁が崩壊したように、パックス・アメリカーナと言われてきた、「軍事力」を背景にした、アメリカの脅迫・恐喝経済が破たんしたとみてよいだろう。
 経済力を強める目的で、軍事力を強化しようとして、アメリカを除く世界の軍事費より多い軍事費を、アメリカ一国で「保有」したことが、経済破壊の要因になったと言える。
 経済を強めるという立場から、軍事拡大路線を取ったことが、経済を破壊するという矛盾を露呈してしまった。皮肉なことだ。
 日本国内にも、民主党のM氏や、自民党のI氏のような軍事おたくも真剣に考えるべきと言っておこう。

・・・・本日は、これまで・・・・

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