2011年11月11日金曜日

魚介類のセシウム汚染 日に日に上昇。もうサカナは食べられない?※ 中野剛志「メディアが報じないアメリカの本音。やはり日本は狙われている」※ “原発輸出”再開の愚

木村建一@hosinoojisan



TPP:「参加=離脱不能」のシステム・・・アメリカの仕掛けた罠

※ 魚介類のセシウム汚染 日に日に上昇。もうサカナは食べられない?

※ 中野剛志「メディアが報じないアメリカの本音やはり日本は狙われている

※ “原発輸出”再開の愚(日経ビジネス・安西巧氏)



 野田首相が、TPP参加表明を一日先送りした。

 ついでに、「不参加表明」にして欲しいが、エイリアンのアメリカがこれを許さないであろうが、この30年間一貫してきた「米国の無理難題」を断ってきた経過から、これを断るのが、政治家と言えよう。

 この数日、見落としていたが、魚介類の汚染が深刻になっているようである

 サンマ、イカ、ブリ、マグロ等の報道がないが、影響が大きすぎて意識的に除外されているのではとの疑惑が募る。

 幸い、明日、我が家にも線量計が届けられるので、監視することとしよう。

 原発輸出問題で、日経ビジネス誌に面白い記事が掲載されていたので、全文記録しておこう。

本日気になった情報を以下に記録しておきたい。

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サンマ、イカ、ブリ、マグロ等、の測定結果は、影響が大きすぎて、意識的に除外している可能性大!

恐れていたことが現実に 魚介類のセシウム汚染 日に日に上昇


2011年11月7日 掲載 ゲンダイネット

http://gendai.net/articles/view/syakai/133565
もうサカナは食べられない?
 東北地方の漁業関係者らに衝撃が走っている。10月中下旬以降、福島沖などで取れた魚介類の放射性セシウムの数値がハンパじゃなく高いためだ。福島原発事故後、魚介類のセシウム汚染は予想されていたとはいえ、値は月日を追うごとにどんどん上昇している。このまま汚染が進めば、食卓から魚が消える日がいよいよ現実味を帯びてくる。
水産庁は原発事故後、福島や茨城などの各都道府県、業界団体と連携し、週1回程度、水産物のサンプリング調査を行っている。2日までで、計3475の検体を調べた。
それによると、10月初旬ころまでに公表されたセシウムの値は、国の規制値(1キロ当たり500ベクレル)に達しない魚介類がほとんどだったが、中旬ごろから、規制値をオーバーする検体が徐々に出始めた

例えば、19日公表の福島沖の「コモンカスベ」は、国の規制値の2倍を超える1280ベクレルを検出。26日公表の福島沖の「シロメバル」は、ナント、2400ベクレルだった。
 11月に入ると、福島沖の「クロソイ」で1420ベクレル、「コモンカスベ」で1260ベクレル、「イシガレイ」で1180ベクレル、「アイナメ」で1050ベクレルなどと、4ケタ台の汚染魚が続出。さらに前橋市の「ワカサギ」でも589ベクレル、「ウグイ」は685ベクレルが検出され、汚染地域がジワジワ拡大している実態がうかがえるのである。
国の規制値は国際的に見ても高く、「非常識」との批判が噴出しているが、それをはるかに上回る値が検出されているのだから驚愕だ。
「放射能を防ぐ知恵」の著者でNPO法人「食品と暮らしの安全基金」代表の小若順一氏がこう言う。
「事故前の魚の放射性セシウムの平均値は0.086ベクレルだから、今は事故前の約2万7000~1万6000倍ということになります。米国がビキニ環礁で行った水爆実験では、魚介類に影響が出始めたのが半年後。福島原発で汚染水が流出、投棄されたのは3月下旬~4月上旬だったから、だいたい当てはまります。高濃度汚染の魚介類はさらに増えるだろうし、汚染域は太平洋沖にさらに拡大していく。影響は5年ほど続くとみています
イタズラに危機をあおるつもりはないが、公表データのウオッチングは必要だ。

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TPP反対派の急先鋒・中野剛志「メディアが報じないアメリカの本音。やはり日本は狙われている」

[2011年11月10日]週プレNEWS

ついにTPPに参加することがほぼ決定的となった日本。報道の裏側、アメリカの真意などを反対派の中野氏が明かす
TPPについては、むちゃくちゃな話がメディアでそのまま流れています。先日(10月27日)、私が生出演したフジテレビの『とくダネ!』なんてヒドいもんでしたよ。
進行役のアナウンサーが、スタジオのモニターで内閣府が試算したTPP参加の経済効果を示したんですが、そこに映し出されたのは「GDP2.7兆円増加」という数字だけ。それを見たコメンテーターが「日本の年間GDPは約530兆円ですから、0・54%くらいの効果です」と解説しちゃったんです。
オマエら、ちょっと待て、と。2.7兆円という数字は10年間の累積だろ! 単年度で見ればTPPの経済効果なんてたったの2700億円。私は生放送で、なんで正確な数字を出さないんだ!とブチ切れましたよ。
ところが、その前に放送された『新報道2001』でもフジテレビは同じ“誤報”を飛ばしました。しかも、こちらは番組スタッフが収録前の段階で10年間の累積である事実を把握していたから、私には故意に隠したとしか思えないんです。視聴者を“TPP賛成”へと誘導したい大手マスコミの狙いが透けて見えますよ。
政府は政府で、TPPに参加することで「国を開く」などとトンチンカンなことを言う。日本の平均関税率は諸外国と比べても低いほうであり、その意味で国はすでに開かれているんです。なぜ、こんな自虐的な発言をしたのか意味不明。本当にこんな状態でTPPを進めてよいのでしょうか?
■「輸出2倍戦略」のためにアメリカはTPPを使う
今、世界はどうなっているのかというと、08年のリーマン・ショック以降、その構造は激変しました。かつての世界恐慌がそうでしたが、今のような世界的な大不況下では、各国とも生き残りのために手段を選ばず必死になります。各国は、日本にオイシイ話やキレイ事を並べながら、えげつない計略を次々と仕掛けてくる。特に住宅バブルの崩壊で国内経済がズタボロのオバマ政権は、経済回復と支持率稼ぎのためになりふり構わなくなっています
そのアメリカが今、最大のターゲットにしているのが日本です。アメリカは「2014年までに輸出を2倍にする」ことを国是に掲げています。そのために利用しようとしているのがTPPです。アメリカはまず日本をTPPに誘い込み、思惑どおりに関税や非関税障壁を撤廃させる。もちろん関税撤廃には応じますが、同時にドル安(円高)に誘導して日本企業の輸出競争力を奪います。その上で、金融や農業などで日本の市場の収奪にかかる。これがアメリカの狙いです。
■日本が自ら進む“人食いワニ”の池
このまま日本がTPPに参加すると、国内のルールや仕組みをアメリカ企業に有利になるように改定させられる恐れがあります。そこで、昨年12月に合意に至った米韓FTA(自由貿易協定)が、韓国側から見て、いかに無惨な内容だったかをお話ししましょう。
韓国は、アメリカが韓国の自動車市場に参入しやすくなるよう、排ガス診断装置の装着や安全基準認証などの義務に関して、米国から輸入される自動車は免除するという“例外”をのまされました。
さらに韓国では、日本と同じく国内ニーズが高い小型車に優遇税制を設けていたが、これもアメリカの要求で大型車に有利な税制に変えさせられました。そしてFTAによる関税撤廃で急伸した韓国産自動車の輸出がアメリカの自動車産業を脅かすようなら“関税を復活する”という規定も加えられたのです。
手段を選ばないアメリカのこうした攻勢が、TPP交渉参加後は日本に及ぶことになります。自動車業界では、まず日本のエコカーが標的となるでしょう。米国車の多くは、現時点では日本政府が定めた低公害車の基準を満たしておらず、エコカー減税の対象外。これをアメリカに「参入障壁だ」と指摘されれば、韓国のように泣く泣く優遇税制を撤廃せざるを得なくなるでしょう。
また、TPPで最も懸念されるのは、投資家保護を目的とした「ISDS条項」。これは、例えば日本への参入を図ったアメリカの投資企業が、国家政策によってなんらかの被害を受けた場合に日本を訴えることができるというもの。訴える先は日本の裁判所ではなく、世界銀行傘下のICSID(国際投資紛争解決センター)という仲裁所です。ここでの審理は原則非公開で行なわれ、下された判定に不服があっても日本政府は控訴できません。
さらに怖いのが、審理の基準が投資家の損害だけに絞られる点。日本の政策が、国民の安全や健康、環境のためであったとしても、一切審理の材料にならないんです。もともとNAFTA(北米自由貿易協定)で入った条項ですが、これを使い、あちこちの国で訴訟を起こすアメリカを問題視する声は少なくないのです。そんな“人食いワニ”が潜んでいる池に日本政府は自ら飛び込もうとしているわけです
残念ながら、野田首相のハラは固まっているようです。世論で反対が多くなろうが、国会議員の過半数が異論を唱えようが、もはや民主的にそれを食い止める術はありません。交渉参加の表明は政府の専権事項、野田首相が「参加する」と宣言すれば終わりなんです。
そして、いったん参加表明すれば、国際関係上、もう後戻りはできない。すべての国民が怒りをぶつけ地響きが鳴るような反対運動でも起きない限り、政府の“暴走”は止まりません。
(取材・文/興山英雄 撮影/山形健司)
■中野剛志(なかの・たけし)
1971年生まれ。東京大学卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に入省。現在は京都大学に准教授として出向中。著書に『TPP亡国論』(集英社新書)など。

☆☆☆これは間違っている! 推進派は、アメリカ盲信。文末は、正確

TPP推進派と反対派で主張が全く異なる理由は、どちらも正確な情報を得ていないから

[2011年11月10日]週プレNEWS
日本がTPPに参加することによって、農業と並び崩壊が危惧されているのが国民健康保険制度だ。アメリカの圧力によって解体されるという話もある。だが、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの経済・社会政策部で主任研究員を務める片岡剛士氏は、これを否定する。
「TPPではサービス分野でも自由化の議論がされています。しかし、社会保険が浸食されることはありません。TPPよりも進んだ経済連携のEUでも、そうした議論はありませんでした。通商関係のルールは国内法が優先されます。国民皆保険制度の崩壊はあり得ません」
これに対しTPP反対派の京都大学准教授の中野剛志氏は、医療保険を引き合いにこう話す
「アメリカでは、世界最大の保険会社AIGがリーマン・ショックの影響で破綻し、血税を投入し実質的に国有化しました。今は、なんとしても日本の大きい保険市場を取りたいと思っている。民間保険の拡大に対する障壁として日本の公的医療保険制度を名指しし、解体の圧力をかける可能性があります」
なぜ推進派と反対派の議論がこうも正反対になるのか。
「TPPの会議自体が非公開で、政府に入ってくる情報は会議に参加している人から得た伝聞情報でしかないからです。つまり、各国に都合のいい“ポジショントーク”なので正しい情報とはいえないのです」(アナリスト・青木文鷹氏)
まだまだ交渉中のTPPは、現段階ではその中身がはっきりとはわからない。そのあやふやな情報の上に立った議論なので、かみ合わないのも仕方がないのである。
しかし、こんな中身の見えない交渉に日本が今、急いで飛び込んで大丈夫なのだろうか。前出の片岡氏は「日本にとって不利益な協定内容であれば、交渉から抜ければいい」と、いくつかのタイミングを提示する。
「抜けるタイミングはいくつかあります。議論の内容がダメとわかった時点で抜ける。協定が決まって、その内容に反対だとして抜ける。さらに、条約を日本の国会で批准する段階で反対して抜ける。賛成・反対を議論する機会はいくらでもあります」
だが一方で前出の青木氏は、離脱について大きな見落としがあると指摘する。
「今年の初め、日本とカナダはオブザーバーとして交渉に参加しようとしましたが、市場開放が十分でないという理由で断られた。参加条件の前に、交渉条件を満たしていないと交渉に入れないんですね。つまり、交渉の場に行くということは、事実上、市場開放のお膳立ては出来上がっているということ。参加が認められた時点で市場の開放を世界中に約束したのと同じ。問題は参加するしないとか、交渉に参加してから断るとかではなく、交渉に参加する時点でアウトなんですよ」
TPP論争は、まだまだ続きそうだ。
(取材/興山英雄)

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TPP決定見送り 各党の反応

11月10日20時37分 NHK twitterでつぶやく(クリックするとNHKサイトを離れます) http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111110/k10013881331000.html
TPP=環太平洋パートナーシップ協定の交渉への参加の是非を巡り、政府・民主党が、10日の決定を見送ったことについて、各党からは、交渉参加に反対、賛成の双方の立場から、批判する意見などが出されました。
自民党の大島副総裁は、東京都内であいさつし「あすの衆参両院の予算委員会の集中審議に耐えられないので、集中審議が終わってから記者会見し、しゃべるだけしゃべって、APEC=アジア太平洋経済協力会議に出席するための飛行機に乗ろうということだろう。あえて『逃げるな、総理大臣』と申し上げたい。民主党政権は、逃げる政治ばかりやるので、日本をこんなにもおかしくしてしまった」と述べました。
公明党の山口代表は、東京都内で挨拶し「ここまで決断を先延ばしにしてきたのだから、きょう明確に述べるべきだった。あす衆参両院の予算委員会でTPPの集中審議が行われるが、野田総理大臣が結論を持たないで臨むのであれば、充実した審議になるかどうか怪しい。これからの国の行く末がかかっているだけに、みずからの確固たる、気骨のある信念を述べてほしかった」と述べました。
みんなの党の渡辺代表は「政党として唯一、一貫して早期の交渉参加に賛成を表明してきた。1年も2年も決断を遅らせた民主党政権が、さらに遅らせようとしているなら、100年の大計を誤る。もう参加の結論を言うしかないのに、1日遅らせることに何の意味があるのか。1日決断を遅らせれば慎重な判断というならば、あまりに低次元の話だ」というコメントを出しました。
共産党の志位委員長は、大阪市で記者団に対し「予定されていた記者会見ができなかったのは、野田総理大臣が世論に追い詰められている表れだ。野田総理大臣は、今、日本列島でごうごうと起きている、TPPに反対する国民の声を聞くべきだ。TPPによって国民生活がボロボロになるのは明らかで、交渉参加を断念するよう政府に強く求めていく」と述べました。
また、国民新党の亀井代表は、東京都内で記者団に対し「『政権与党が反対しているなかで、交渉への参加表明などできない』と、この前も野田総理大臣に言ったところだ。もし参加を表明するのであれば、大変な事態になってくることを覚悟した上で、おやりになるべきだ」と述べました。

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“原発輸出”再開の愚

バックナンバー
2011年11月11日(金) 日経ビジネス
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20111107/223672/?bv_ru

 3.11東日本大震災後の東京電力福島第1原子力発電所の事故は経済のみならず、社会の風景を変えた。「原発安全神話」が崩壊して電力調達問題が喫緊の課題として浮上、折からの円高と合わせて産業の空洞化への懸念も広がる。再生可能エネルギーへのシフトは自明の理だが、既得権益の壁にぶつかり、新市場創造への道は険しい。対処能力を欠いた民主党政権は“霞ヶ関”の軍門にくだり、政治が迷走する中で、東北や首都圏の約4000万人の住民は爆発した原子炉から飛散した放射性物質に怯えながら暮らしている。日本人も企業も抜本的な思考や価値観の変革を求められている。未来を見据えながら、激変する経済社会のうねりをマネジメントの視点から論じる。
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 日本からベトナムへの原発輸出プロジェクトが再び動き始めた。
「ベトナムは日本による原子力発電技術の提供を熱望している」
「日本は世界最高水準の原発技術の提供を保証する」

 10月31日、来日中だったベトナムのグエン・タン・ズン首相と野田佳彦首相が首脳会談後に共同コミュニケを発表。昨年秋に決定したものの、3月の福島原発事故で協議が中断していたプロジェクトに両国政府は正式にゴーサインを出した。
 原発立地予定地は同国南部ニントアン省で100万キロワット級の原子炉2基を建設、事業規模は1兆円程度とされる。日本政府は事業への出資をはじめ、政府開発援助(ODA)を通じた技術者育成、国際協力銀行(JBIC)による融資なども検討、至れり尽くせりで支援する構えだ。
 ベトナムだけではない。野田首相は政権発足後、インド、ヨルダン、トルコなどへの原発輸出協議を軒並み再開させつつある。原発メーカーの日本勢はもちろん、「政府の支援が大きい。引き続き売り込みなどをお願いしたい」(三菱重工業の大宮英明社長)と歓迎する。
 「一度始めたら誰も止められなくなる。その挙げ句が巨額の財政負担に結びついた
民主党が政権発足以来、鳴り物入りで進めた公共事業の「仕分け」で何度も繰り返された警句だ。これがそのまま、原発輸出にも当てはまりそうな気がしてならない。

 政府は昨年、原発輸出を「新成長戦略」の柱に据え、経済産業省や外務省にインフラ海外展開の部隊を設置、政官民総動員体制で受注活動に力を注いできた。福島で「レベル7」の未曾有の事故を引き起こしても、いまだに原子炉内部の状況さえ把握できていない状況下でも、予算がつき、組織まで用意すればいまさら引き返せないということなのだろう。
原発建設を成長産業と見るのは経済オンチ
 しかし、原発建設をいまだに「成長産業」と見ているのは、永田町と霞ヶ関に巣食うひとにぎりの“経済オンチ”の人々だけなのではないか。2000年代半ばに地球温暖化問題や原油高騰を背景に「原発ルネサンス」と囃し立てられた時期もあったが、その後の原油価格下落やシェール(頁岩)ガス生産量の急増によって原発が優位性を失いつつあった矢先に福島の事故が発生した。
 “メード・イン・ジャパン”の神通力は薄らいだとはいえ、日本のモノづくり能力や労働者の質に対する評価が高かっただけに、「フクシマ・ショック」が海外に及ぼしたインパクトは大きかった。ドイツやスイス、イタリアが脱原発に舵を切っただけでなく、世界のビジネス界も潮が引くように相次いで撤退モードに入った。
 今年4月19日、米電力大手NRGエナジーはテキサス州で進めていた「サウス・テキサス・プロジェクト」(STP)原発3、4号機の建設計画を中止すると発表した。NRGは2008年に東芝と合弁会社(出資比率はNRG88%、東芝12%、行く行くは東京電力も出資予定になっていた)を設立、2016~17年稼働を目指し、100億~110億ドルを投じて総出力270万キロワットの改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)を2基建設する計画だった。
 NRGのSTP増設撤退は、タイミングからいって福島の事故が決定打になったことは否定できないが、実は、米国では「フクシマ」以前から電力業界での原発の位置づけが揺らいでいた。ブッシュ前政権は2005年に「包括エネルギー法」を成立させ、スリーマイル島事故(1979年、ペンシルバニア州)以来途絶えていた原発を大量に新設(2020年までに30基)する計画を打ち出し、現在のオバマ政権も「グリーンニューディール構想」を掲げ、原発建設に対する政府の債務保証枠(185億ドル=2011会計年度)を設定して業界を支援してきた。
 しかし、この業界支援制度は昨年の中間選挙で与党民主党が惨敗してから、財政支出を病的なまでに忌み嫌う茶会党(ティーパーティー)の台頭もあって円滑に機能しなくなった。STPは昨年前半に政府の債務保証を受ける見通しを立てていたが、予定は大幅に遅延。一方で、シェールガスの効率的な抽出方法が確立して数年来、米国内では天然ガス生産量が急増。埋蔵量も国内需要の30年分といわれ、この3年間でガス価格は約6割も下がっている。
 こうした政府保証の出し渋りやガス価格値下がりのあおりを食ったのが、米コンステレーション・エナジー・グループが計画していた「カルバート・クリフス原発」(メリーランド州)。原発への債務保証に慎重になった米政府が同原発の保証料として8億8000万ドルを請求したところ、安価なガス火力発電に対抗できないとして昨年10月、建設計画を凍結してしまった。
 そもそも米政府が債務保証をして原発建設を支援してきたのは、電力事業者の資金調達コストを下げるのが目的。逆に言えば、政府の保証がなければ通常の金利を負担できないほど、米国での原発ビジネスは採算性に乏しいということになる。メリーランド州は電力料金の自由化が進み、ガス発電などとの競争が最も激しい地域といわれる。同州が地盤のコンステレーション社はカルバート・クリフス原発の建設断念から半年後の今年4月、米電力最大手エクセロンに買収されることが発表された。
さらにダイナミックな欧州の脱原発
 脱原発が進む欧州では企業の動きはさらにダイナミックだ。ドイツの総合電機大手シーメンスのペーター・レッシャーCEO(最高経営責任者)は今年9月、独シュピーゲル誌のインタビューで原子力事業から完全撤退することを明らかにした。「今後、原子力発電の建設や投資、運営に関与しない。我々にとってこの章は閉じられた」というのがレッシャー氏の弁。
 シーメンスは09年、フランス原発大手アレバとの合弁会社「アレバNP」の持ち株(発行済み株式の34%)をすべてアレバに売却、代わりにロシアの原子力大手ロスアトムと提携する方針を表明したが、アレバが協定違反だとしてシーメンスを国際商業会議所国際仲裁裁判所(パリ)に提訴。今年5月、同裁判所はシーメンスが原発部門でアレバと競合することを禁じ、さらに違約金として6億4800万ユーロの支払いをシーメンスに命じた。
 こうした事業戦略の混乱に加えて、福島原発事故を受けた独政府が同じく5月に2022年までに国内の全原発を停止すると決定。2007年に就任し、一時は原発を成長部門と位置づけたレッシャー氏だが、早々に先行きを見切り、撤退に踏み切った。
 チェルノブイリ原発事故(1986年、旧ソ連=現ウクライナ)の恐怖を身近に経験した欧州では、原発を国の中核事業としているフランスを例外として、原子力ビジネスに積極的な企業は見当たらない。欧州エンジニアリング大手ABB(アセア・ブラウン・ボベリ、スイス)は1999年に原発事業を英国核燃料会社(BNFL)に売却。このBNFLは同年、米原子力大手ウエスチングハウス(WH)も傘下に収めており、英国では一時国を挙げて原発ビジネスにのめり込んだ時期があった。
 だが、2000年にBNFLのMOX(プルトニウム混合酸化物)燃料のデータ改竄問題が発覚して国内で原発に対する風当たりが厳しくなったのに加え、ブレア政権が実施した市場化テストで天然ガス発電が原発に対してコスト面で圧倒的優位に立ち、英国内で原発への投資意欲は急速に低下。BNFLは2006年にWHを東芝に売却したほか、傘下のブリティッシュ・ニュークリア・グループ社(BNG)やウラン濃縮会社URENCOなどの保有株を次々に手放す方針を打ち出した。
 繰り返しになるが、欧米のビジネス界では数年前の「原発熱」が急速に冷めつつある。シーメンスの原発撤退が明らかになる2週間ほど前の9月初め、米エンジニアリング大手ショー・グループが保有するWH株(発行済み株式の20%)をすべて東芝に売却する意向を表明。東芝のWH株の持ち株比率は67%から87%へ上昇したが、ショーに支払う1250億円の対価と引き換えに手に入れるものは過大なリスクばかりではないかという印象が強い。ショーのWH株売却は「円建て債券で出資金を調達していたため最近の円高で為替差損が生じた」ということが表向きの理由とされているが、原発ビジネスの将来性がWHに出資した5年前に比べ急速にしぼんだことと無関係ではないだろう。
黄昏市場にのめりこむ日本が抱え込む新たなリスク
 そんな黄昏の原発市場に、日本勢は敢えてのめり込んで行こうとしている。東芝、日立製作所、三菱重工業といった民間企業が独力で原発ビジネスを継続することに異論を差し挟む余地はない(コンバインドサイクル発電などガスタービン事業で高い競争力を持つ三菱重工や地熱タービンで世界シェア首位の東芝が原発事業で経営資源を浪費するのは惜しいが…)。失敗してもオウンリスク(自己責任)だから、経営者が判断すればいい。
 しかし、政府が金融支援するとなると話は違ってくる。公的資金を投じる海外プロジェクトの採算性を官僚や政治家が判断できるのか。稼働した原発が万一事故を起こした場合に巨額の賠償請求を断ち切れるのか。スリーマイル島事故もチェルノブイリ事故も原因は操作ミスであり、福島の事故も地震・津波が発端とはいえ、安全対策を怠った人災であることは政府も認めている
 設備は最新鋭でも人的過失は避けようがない。福島の事故で原子炉メーカーの米ゼネラル・エレクトリック(GE)の製造物責任が問われないのは、日本の原子力損害賠償法(1961年)が米政府の強い影響力を払拭できない状況下で制定され、第4条で事業者(電力会社)のみが無過失責任、無限責任を負うと規定されているからだ。こんな風に外国の法律を自在に操る離れ業を今の霞ヶ関や永田町の住人がやってのけることが果たしてできるのか。
 「新成長戦略」の惰性でずるずると原発リスクを抱え込む野田政権。そこに、いまだ健在の“原子力ムラ”の無責任な蠢(うごめ)きを感じるのは筆者だけだろうか。

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Astronomy Picture of the Day


Discover the cosmos!
2011 November 10 See Explanation.  Clicking on the picture will download
 the highest resolution version available.
RCW 86: Historical Supernova Remnant
Credit: X-ray:
XMM-Newton, Chandra / IR: WISE, Spitzer
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妻純子、インフル予防接種

・・・・・本日は、これまで・・・・・

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