2010年11月15日月曜日

「エイリアン」の本性を現したアメリカ(TPP問題)

「エイリアン」の本性を現したアメリカ(TPP問題)

朝日新聞WEB201011142313分)は、アメリカが、日本を食い物にするかのようなUSTR代表の発言を報道している。

「米USTR代表、牛肉・保険の市場開放要求 前原外相に」というタイトルのもとに、以下の報道をしている。
『米通商代表部(USTR)のカーク代表は14日、前原誠司外相と会談し、日本が輸入制限している米国産牛肉問題や、外資系保険会社の不平等な競争条件といった「非関税障壁」の解決を求めた。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への参加でも解決が条件との考えを示したとみられる。
日本は現在、米国産牛肉の輸入では特定危険部位を除いたうえで、生後20カ月以下に限っているが、米側はこの基準の緩和を要求。政府出資が残る日本郵政グループのかんぽ生命が「がん保険」に新規参入しようとしていることに対し、「民間会社と対等な競争条件の確保」を求めた。
また、カーク代表は、日本のTPPへの関心を歓迎するとした。中国が輸出規制しているレアアース(希土類)など戦略資源の問題では、日米が緊密に連携することで一致した。』

この姿勢は、「全面降伏」を主張するもので、下記に紹介する、三菱・UFJの報告書にみられるとおり、USTRと「貿易マフィア」によるAPEC参加国の資産を食い潰そうとする戦略であることが、明らかとなろう。

経済関係に疎い、私たちにとって、比較的理解しやすいレポートがあったので、まず、それを紹介しておきたい。

(図1)アジア太平洋地域経済統合に向けてのアプローチ



















(注)TPP については、*は加盟交渉中。
出所 Washington D.C. Political and Economic Report(三菱東京UFJ 銀行ワシントン駐在員事務所長奥智之氏)
ついでに、上手く纏められているので、以下の文章も引用させてもらった。

ASEAN 自由貿易地域AFTA
1992 年に発効した自由貿易協定で、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、シンガポール、
タイ、フィリピンの6 カ国が加盟。その後ベトナム、ラオス、ミャンマー、カンボジアが加
わり、現在10 カ国が参加している。先行加盟国6 カ国の間では今年1 1 日で、ほぼ全品目
の関税が撤廃された。新加盟国4 カ国については、2015 年までに全品目の完全が撤廃される
予定。

東アジア自由貿易地域EAFTAASEAN+3
アジア金融危機をきっかけに、1997 年のASEAN首脳会議に日本、中国、韓国の首脳が招待されたことから始まった地域フォーラム。2005 年マレーシア・クアランプールで開催された首脳会議では、ASEAN+3 が東アジア共同体の土台となることが宣言され、鳩山政権もASEAN+3 を中心としたアジア経済統合に積極的な姿勢を示している。

東アジア包括的経済連携CEPEAASEAN+6
ASEAN+3 にインド、オーストラリア、ニュージーランドが加わったイニシアティブ。中国、韓国が推すEAFTA に対抗して、日本の小泉政権が打ち出した構想で、投資関連規則、人材移転、知的財産保護などを含めた、EAFTA よりも包括的な内容となっている。

環太平洋パートナーシップTPP
2005 年にシンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイが署名、2006 年に発効した自由貿易協定。米国は2008 9 月に参加に向けての交渉開始を表明し、同年11 月にはオーストラリア、ベトナム、ペルーもTPP 参加の意図を表明、既に交渉を開始している。また日本、韓国やマレーシアもTPP 参加に興味を示しており、マレーシアは先月、TPP 参加のメリットに関する調査を開始し、TPP 参加に向けての取り組みを開始した。

TPP はアジア太平洋経済協力(APEC)の枠組みとは別だが、多くのAPEC 諸国の参加が予想されており、将来的にはアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の基盤となることが期待されている。APEC は「開かれた地域協力」によって経済ブロック化を防ごうとしたのに対し、TPPは経済のブロック化によって貿易自由化を進めようとするのが特徴である。

氏の結論は、「複数のUSTR 元高官を始め、当地の“貿易マフィア”が勢揃いした会合で改めて繰り返されたこの認識は、既に米国の政策担当者の間に定着し、それを具体化するためのTPP 推進も始まっている。こうした米国の現実に対し、もし日本がアジアだけの経済統合を本気で目指すならば、安全保障分野に加えて、日米間の緊張は倍増することになろう。」とされている。

また、アメリカが、製造業を強化するためには、FTA等が重要との認識を強めていることから(Washington D.C. Political and Economic Report)、能天気な、TPP参加至上主義は、問題があろう。

「国益」という言葉が独り歩きしているが、TPPが、アメリカの「国益」中心で、進められることから、逆に、参加国の「国益」が損なわれることとなろう。

アジア最大の経済圏の中国やインドは参加しないようであるが、そうであるとなれば、日本がターゲットとなっていることは、論を待たないであろう。

日本の「真の国益」を守るためには、もはや、経済的にも軍事的?にも、新たな決意で、「自立」を目指すことが求められていると言えよう。

菅首相が言う、「開かれた」「従属の国」にするのではなく、アメリカからの呪縛「解放」こそ、日本の発展の道筋となろう。

国民新党は、郵政問題で、はっきりとした態度を示しているので、その方向を堅持していただきたいが、心ある民主党や自民党の諸君も、頑張ってほしいものである。

仙石・前原・菅体制は、TPP問題で、あのフール・ブッシュに迎合して「誤りを犯した」小泉政権と同じ「軌道」に落ち込んだので、もはや、「民主党政権」とは言えないであろう。

日本を、活気ある社会にするためには、政治家は勿論、朝日新聞や毎日新聞等なすメディア各社が、アメリカの呪縛を解き放ち、民族主義者が主張する、戦前回帰の「自立」でなく、国連を中心とする「民主的」な「自立」の方向を打ち出すべきであろう。

・・・本日は、これまで・・・

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