2016年7月15日金曜日

「石棺」に言及 「固定化」の恐れ地元反発 ※基準地震動「再々計算を」 元規制委委員 ※天皇陛下の生前退位 米紙が皇太子を分析「改憲と対照的」 ※日本国民の選択「与党圧勝」に米国が抱く不安

hosi@hosinoojisan

第一原発「石棺」に言及 「固定化」の恐れ地元反発

基準地震動「再々計算を」 元規制委委員要求

天皇陛下の生前退位 米紙が皇太子を分析「改憲と対照的」

日本国民の選択「与党圧勝」に米国が抱く不安

親族が応援でも除名…自民都連通告文は憲法を完全無視



今日は、何故か時間が早く流れ、考える時間が無くなったので、記録のみに留めたい。



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第一原発「石棺」に言及 「固定化」の恐れ地元反発

( 2016/07/14 09:01 カテゴリー:主要 )福島民報 http://www.minpo.jp/news/detail/2016071432782  原子力損害賠償・廃炉等支援機構は13日、東京電力福島第一原発事故の廃炉作業での技術的な裏付けとなる新たな「戦略プラン」を公表し、核燃料を建屋内に閉じ込める「石棺」方式について初めて言及した。溶融燃料(燃料デブリ)を取り出すことが大前提としながらも「今後明らかになる内部状況に応じて、柔軟に見直しを図ることが適切」として選択の余地を残した。
 県は取り出した溶融燃料など放射性廃棄物の県外処分を求めている。石棺は廃炉に伴う高レベル放射性廃棄物の県内固定化につながりかねず、県や地元町村は反発している。
 石棺は溶融燃料を残した原子炉をコンクリートで覆う方式。「長期間の安全管理が困難」と慎重な姿勢を示した上で、将来的な計画見直しを踏まえて選択する可能性は残した。その際、「長期的な責任継承に関する不確実性や世代間での安易な先送りに対する懸念を十分に踏まえるべきだ」と注文した。石棺は旧ソ連のチェルノブイリ原発で採用されたが、老朽化が問題となっている。
 プランではこのほか、溶融燃料の取り出しで燃料のある場所に応じて複数の工法を組み合わせる可能性が高まった。これまでは一つに絞り込む方針だったが、原子炉内の調査・分析が進んだ結果、溶けた燃料が複数箇所に散在し、一つの工法で取り出すのが難しいと判断した。各号機の状況を踏まえ、具体的な工法を検討する。
 昨年の戦略プランは
(1)原子炉格納容器に水を満たして上部から取り出す「冠水工法
(2)水を張らない「気中工法」で上部から取り出す
(3)気中工法で側面から取り出す
-の3通りを挙げ、燃料の状況に応じて絞り込む方針だった。
■県外処分近く国に要求へ 県と原発周辺市町村
 県と東京電力福島第一原発周辺の13市町村は13日、福島市で開いた会合で、溶融燃料を含む放射性廃棄物や取り出した使用済み燃料を県外で適切に処分するよう国に対して求めることを改めて申し合わせた。これまでも原子力政策を進めてきた国の責任で県外処分を進めるよう要望している。 

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基準地震動「再々計算を」 元規制委委員要求 毎日新聞2016年7月15日 東京朝刊 http://mainichi.jp/articles/20160715/ddm/008/040/159000c
 関西電力大飯原発(福井県)で想定する地震の最大の揺れ(基準地震動)に過小評価のおそれが指摘された問題で、原子力規制委員会が別方式で再計算し「問題なし」と結論づけたことについて、指摘をしていた規制委の前委員長代理の島崎邦彦・東大名誉教授(地震学)は14日、「結論には納得できない」として再々計算を求める抗議文を送った。15日に東京都内で記者会見し説明するという。
 規制委は再計算の結果を、関電による基準地震動856ガル(ガルは加速度の単位)を下回る644ガルとした。  これに対し、島崎氏は ▽規制委の計算結果の処理方法は関電と異なり、値が小さく出る ▽関電はさらに厳しい条件で追加計算し基準地震動を決めているが、規制委はそれをしていない −−などと指摘。同じ条件で計算すれば、結果は大まかな推定で1550ガルにもなるとした。  毎日新聞の13日の取材に対し、規制委事務局の規制庁担当者は、関電と手法が違うことを認め、「当然(結果に)差は出てくる」と話した。異なる手法の結果を比べて「問題なし」と結論づけてよいかどうかには明確な答えを避けた。規制庁の金城慎司広報室長は「要望があれば真摯(しんし)に受け止めたい」と話した。【高木昭午、岡田英】

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天皇陛下の生前退位 米紙が皇太子を分析「改憲と対照的」

2016年7月14日 日刊ゲンダイ

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/185669 一方、この人は改憲に前のめり(C)日刊ゲンダイ 
一方、この人は改憲に前のめり(C)日刊ゲンダイ
天皇は政治的な権限を持っていないが、安倍首相が目指す憲法改正とは対照的な考え方を示すかもしれない」――。
 天皇が「生前退位」の意向を示されていると報じられたことについて、米紙NYタイムズ(電子版)は13日、天皇の地位を継承する皇太子を、「平和憲法を称賛してきた」と論評する記事を掲載した。
 記事では、天皇が03年に前立腺がん、12年に心臓手術などを受けたとし、公務負担が大きくなっていると指摘。昭和天皇も長い間、病気だったことから「天皇は(生前退位を)より容易にできるようにしたいと考えているようだ」との専門家の分析を伝えている。
「生前退位」は皇室典範の改正が必要で、少なくとも1~2年かかるとみられる。参院選でで勝った安倍政権は改憲に前のめりになりつつあるが、皇室典範の改正が優先されれば、改憲論議は後回しになる可能性がある。

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親族が応援でも除名…自民都連の通告文は憲法を完全無視

2016年7月14日 日刊ゲンダイ

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/185670 都連会長の石原伸晃(右)と幹事長の内田氏(C)日刊ゲンダイ 
都連会長の石原伸晃(右)と幹事長の内田氏(C)日刊ゲンダイ(当方注:都議会汚染の元凶内田氏
「中国や北朝鮮みたい」「恐怖政治だ」――。14日告示された都知事選(31日投開票)で、増田寛也元総務相(64)を擁立した自民党都連が、党決定以外の候補を応援した場合に「除名」をほのめかす文書を党員に配っていた問題。さすが「自由」も「民主主義」も理解していない安倍独裁政権である。
 文書は11日付。都連会長の石原伸晃経済再生担当相、幹事長の内田茂都議らの連名で、「都知事選挙における党紀の保持について」と題し、〈党公認、推薦候補者以外の者を応援してはならない〉とある。まあ、ここまでは仕方ないとしても、問題は次のくだりだ。
〈各級議員(親族等含む)が非推薦の候補を応援した場合は(略)除名等の処分の対象となります〉
 これは仰天だ。この書面通りなら、親族に1人でも自民党員がいれば、一族郎党すべてが党紀に拘束されるということだ
憲法19条は「思想・良心の自由」を保障しているが、完全無視である。
仮に小池百合子元防衛相(63)の応援に石原慎太郎元都知事が駆け付けたら、都連会長の伸晃だって処分されるし、小泉純一郎元首相が例の調子で「頑張れ」なんてエールを送ったら息子の進次郎はすぐに除名処分だ。
 都連に確認すると、「(理屈上は)そうなります。ただ、党は今回だけでなく、以前から(こうした)文書を配布しています。それ以上の詳しいことは分かりません」と答えた。
 前回の都知事選は、自民党が支援した舛添要一前知事の対立候補で出馬した細川護熙元首相を小泉は支援していたが、進次郎は除名処分になっていない。今回の都知事選だけ自民党が躍起になって締め上げているのは明らかだ。政治評論家の山口朝雄氏がこう言う。
政治の現場を長く取材してきましたが、自民党が今回のような通知を出したのは聞いたことがありません。国会の議決で党議拘束をかけるというならともかく、今回は首長選です。かなり異常な対応です。これは選挙後も火種になるでしょう
 都知事選が自民党「分裂」のきっかけになるかもしれない。

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日本国民の選択「与党圧勝」に米国が抱く不安 安倍政権への信頼感は高いが…

東洋経済オンライン ダニエル・スナイダー16 時間前 http://toyokeizai.net/articles/-/127293 与党圧勝に終わった参院選に米国は胸をなでおろしている反面、不安も感じている(写真: Toru Hanai/ロイター/アフロ)
© 東洋経済オンライン 与党圧勝に終わった参院選に米国は胸をなでおろしている反面、不安も感じて…
原文はこちら  連立与党の大勝利となった参議院選。米国の日本専門家の多くは、米国と欧州で反政府ムードが高まる中、日本だけは「政治的に安定した国」だという確認ができたことに胸をなでおろしている。  「安倍晋三首相を支持する自民党と公明党の大躍進は、アジアと世界で積極的な役割を努めてほしいと望む米国人にとって、基本的には朗報だ」と、米国務省元日本部長のラスト・マクファーソン・デミング元駐日首席公使は話す。「米国が次期大統領選に伴ってレームダック期に突入し、EU(欧州連合)が存続の危機に直面している中、国際社会は比較的広く強い権限を持った政府を擁する民主主義の先進国を必要としている」。
米国が安倍政権に望むことは
 連立与党は国会の両院で確固たる支配力を有し、また自民党内にも「政敵」がいない状態だ。こうした中、米国側は安倍首相が、行き詰まりを見せている経済改革に改めて向き合い、全精力を注ぐよう期待している。  「新たな財政刺激策や環太平洋戦略的経済連携協定(TPP) の批准、労働や移民分野における構造改革、さらに人口減の問題などが安倍首相のトップアジェンダになるべきだ」とデミング元首席公使は語る。「日本が自国経済と社会の再活性化に成功し、地域的及び国際的な役割を拡大させることが、自由主義的国際秩序を維持したい米国やほかの国々の利益となる」。  「アベノミクスは宣伝されているほどまだ効力を発揮しておらず、英国のEU離脱の影響から円高も一段と進行している。が、日本は目下、世界経済の向かい風の中を突き進んでいることを考えると、経済政策を推し進めることは容易ではないだろう」と、日本に詳しいある米高官も話す。  一方、今回の選挙結果は米国側に2つの不安を抱かせることとなった 一つは、安倍首相が経済政策と同じくらいかそれ以上に「成し遂げたい」と考えているものがあることだ。「平和憲法の改正及び戦後レジームからの脱却を果たすことで、安倍首相が自らの名を歴史に残したいと考えていることは誰にも明白だ」と、前述の高官は言う。  仮に同政権が戦後の歴史的秩序を変えることに力を入れ始めれば、中国や韓国からの激しい反発を引き起こす可能性があり、ここ数カ月地域的安定に向けて行われてきた取り組みが一気に台なしになってしまう。  「今回の選挙結果をアジアの近隣国との関係という観点から見ると、もっとも問題含みなのが中国、次に韓国だ」とデミング元首席公使は話す。「今後の行方は、中国や韓国の政府が今回の結果をどう受け止めるかによる」。すでに中韓メディアでは、選挙の結果を受けて日本の軍国主義が再び話題になり始めている。  「安倍政権が中韓それぞれと関わり続け、歴史的、領土的問題を刺激しそうな言動を避け続けることが重要だ。今後、自民党右派が修正主義的な政策を推し進めることになれば、その分、中国や韓国との関係が悪化することは避けられない」(デミング元首席公使)。
辺野古移設計画は代替案検討の可能性も
 もう一つは、沖縄問題である。島尻安伊子沖縄担当相の決定的な敗北は米国にとっては大きな痛手であり、米軍基地の辺野古移設への反対を表明している伊波洋一元宜野湾市長の勝利は、県内の移設反対勢力をさらに活気づけることになる。これまでも、公的には移設を進めることで両国政府は合意をしているが、米政府関係者間では代替案を検討する必要性も話し合われてきた。今回の結果を受け、より真剣に代替案に関する議論がされることになるのは間違いない。  「もし安倍首相が強制的な手法を用いて、辺野古移設を前に進めようとすれば、沖縄での反感はさらに強まり、嘉手納基地のような、沖縄で戦略上より不可欠な軍事資産を米国が使用できなくなるおそれが生じかねない」と、米ジョージ・ワシントン大学で日米関係を教えるマイク・モチヅキ教授は話す。  「執拗に今の計画に固執するよりは、日米両政府で代替案を模索し始めるべき。その代替案とは、沖縄における海兵隊の規模を縮小しながらも、アジア太平洋地域の安全保障問題のすべての課題に対処するために、より効果的かつ効率的に米海兵隊を配置するものでなければならない  数十年間基地問題に取り組んできた、デミング元首席公使も代替案に賛成する。「辺野古移設計画はしばらく『延命維持装置』につながれていた状態だが、今回の選挙結果は致命的な打撃になるかもしれない。安倍政権は今回の件を、米国が持続可能かつ有効的な日本における基地の在り方や、具体的な移設場所について改めて検討する機会と捉えたほうがいいだろう」(同首席公使)。  非公式にではあるが、米国の防衛専門家たちは、すでに横須賀や三沢など本州にある空・海軍の基地の規模を拡大することによって、中国や北朝鮮に対する抑止力を強化する方向を模索し始めている。  仮に安倍首相と自民党が、憲法改正、とりわけ9条の改正に強引に取り組むようなことになり、さらに米大統領選の結果、米国がより孤立主義を強めることになれば、現在の良好な日米関係は一気に悪化しかねない。これは、米国からの独立政策を望んでいる日本の右派の背中を押すとことになるだろう。  もっとも日本に関する専門家たちは、今回の選挙を受けて憲法改正の機運が一気に高まるとは考えていない。安倍首相が選挙中に、この問題に言及しなかったことや、選挙後の同首相の注意深い発言は、日本の有権者が憲法改正の必要について依然、相当に懐疑的であるという現実を示しているからだ。
今後の日本の動きをどう見るか
 「民進党と日本共産党を中心とした反安倍勢力は、憲法改正を選挙の争点にしようとしていた。憲法9条の改正や集団的自衛権に対する国民の根強い反発を、安倍政権を倒す戦略として利用しようと目論んでいたが、結局は打ち負かせなかった。安倍首相が選挙期間中、自民党の憲法改正案の争点を巧妙にずらして、代わりに経済政策と、野党の選挙協力におけるイデオロギーの矛盾に、話の焦点を当てていたことが背景だ」と、ジョージ・ワシントン大のモチヅキ教授は指摘する。  「今後あり得るのは、安倍首相が今回の勝利を受けて、国会で憲法改正に関する審議を始め、公明党が受け入れることのできる改正案を作ることだ。これは、安倍首相が安全保障関連法を成立させるために使った手口と酷似することになるのではないか。安倍首相は9条を改正することはできないかもしれないが、日本を憲法改正に正式に導く初めての首相になる可能性がある」(モチヅキ教授)。  米政府の安全保障専門家たちは、基本的には安倍首相を受け入れており、同首相による長期政権が安定的な日米関係を築き上げてきたと考えている。しかし、安倍首相を支持する専門家たちでさえ、日本政府が歴史修正主義の道を用心深く歩もうとしていることに警鐘を鳴らしている  「憲法改正などは国内で異論が多いだけでなく、近隣国を挑発する可能性が高い」とデミング元首席公使はいう。日本の国内政治と外交政策の両方を混乱させないためにも、安倍政権には慎重に、透明性を持って前進することが望まれる。

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空自機、邦人輸送を実施 南スーダンの大使館員4人

(2016/07/15 00:13カテゴリー:政治)  福島民報 http://www.minpo.jp/globalnews/detail/2016071401002058  治安情勢が悪化した南スーダンの在留邦人の退避を支援するため派遣された航空自衛隊のC130輸送機が14日、首都ジュバに到着し、残っていた日本大使館員4人を乗せて出発した。活動拠点とする近隣国のジブチに同日夜に戻った。到着した大使館員の女性は共同通信の取材に「ほっとしている。まだ南スーダンには20~30人の在留邦人がいるので心配だ」と述べた。  これに先立ち中谷元・防衛相はC130輸送機を、ジブチからジュバへ派遣する命令を出したと明らかにした。菅義偉官房長官が防衛相に代わって手続きをした。訪問先のインド・ニューデリーで記者団に語った。

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【緊迫・南シナ海】 中国が裁定後もフィリピン漁船追い出し 仲裁裁が「不法」と認定したスカボロー礁で

2016.7.14 21:57更新 産経新聞
http://www.sankei.com/world/news/160714/wor1607140052-n1.html
 【シンガポール=吉村英輝】フィリピンのABS-CBN放送(電子版)は14日、南シナ海を巡る仲裁裁定でフィリピン漁民らの伝統的漁業権が認められたスカボロー礁(中国名・黄岩島)へ同国の漁船が接近を試みたところ、中国海警局とみられる監視船などから妨害を受けたと伝えた。  同礁は、フィリピン北部ルソン島沖約200キロで、フィリピンの排他的経済水域(EEZ)内にあるが、中国が2012年から実効支配を始め、フィリピン漁民を排除してきた。仲裁裁判所は、同礁は「岩」であり、周辺海域はフィリピンや中国など周辺国の漁民の漁場と認め、中国船によるフィリピン漁船への妨害を不法と認定した。  同テレビの記者らが同乗した漁船は14日、同礁に近づいたが、裁定前と同様に、中国の漁船や中国海警局とみられる船から岩礁内への立ち入りが妨害されたという。中国当局者らしき制服姿の男がゴムボートからフィリピン漁船へ望遠レンズを向ける様子も伝えられた。

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中国、南シナ海領有権否定判決で日米がとるべき姿勢 田岡俊次 [軍事ジャーナリスト]

2016年7月14日 ダイヤモンド http://diamond.jp/articles/-/95522?utm_source=daily&utm_medium=email&utm_campaign=doleditor
 
中国の主張は「地中海はイタリアの 主権下にある」というのと同然
 中国が南シナ海の大部分の領有権を主張しているのに対し、フィリピンは「それは国連海洋法条約に違反する」とオランダ・ハーグの常設仲裁裁判所に提訴していたが、同仲裁裁判所は7月12日フィリピンの主張を認める判断を示した。  訴えの要点の1つは中国が南沙、西沙諸島がある南シナ海を囲うようにU字型に引いた「9段線」の当否だった。これは1947年、当時中国を支配していた蒋介石の中華民国政府が「11段線」を引いて、それに囲まれる南シナ海が主権下にあると宣言したものだ。1953年に中華人民共和国政府がトンキン湾の一部の島をベトナム領と認めて「9段線」になった。  中国では特に宋の時代(10世紀~13世紀)に南海貿易が盛んになり、南シナ海を多数の大型の中国帆船が往来していたことは事実だが、南シナ海の無人島群である南沙諸島を管理・支配していた証拠はなく「南シナ海の大部分が歴史的主権下にある」との中国の主張は「かつてローマ帝国は地中海を支配していたから、いまも地中海はイタリアの主権下にある」と言うのと同然だ。仲裁裁判所が「中国の主張には法的根拠がない」と裁定したのは当然だろう。  もう1つの要点は中国が満潮時に水面下に没する「低潮高地」(干出岩)を埋め立てて人工島を築き、その周囲を領海や排他的経済水域にしようとしていることだった。中国は「9段線」を宣言はしたものの、現実には南沙諸島では出遅れ、一応「島」と言えそうな12島のうち、ベトナムとフィリピンが5島ずつ、台湾とマレーシアが1島ずつを支配し、それぞれが1つの島に飛行場を造っている。後から来た中国は低潮高地の周辺を埋め立てるしかなかったのだ。  だが海洋法条約13条には「低潮高地は本土又は島から領海の幅(12海里=22km)を超える距離にあるときは、それ自体の領海を有しない」と定められている。仲裁裁判所が中国が埋め立てている岩礁は島ではない、と認定したのも当然だ。  ただ、海洋法条約は第298条で「海洋の境界画定に関する紛争」については、いずれの国も拘束力を有する解決手続きを受け入れないことを宣言できる、としている。  中国は以前からこの条文を基に適用除外を宣言している。だから中国外務省がただちに「仲裁法廷が出したいわゆる判決は無効で拘束力はなく、中国は受け入れない」との声明を出したのにも全く根拠がないわけではないし、仲裁裁判所の裁定を中国に強制する手段はない。
フィリピンは対話重視の姿勢も 中国にとって外交上は痛手
 フィリピンがこの提訴をしたのは2013年1月、親米的なベニグノ・アキノ大統領政権下だったが、今年6月30日に就任したロドリゴ・ドゥテルテ大統領は国内の華人との関係が強く、中国との経済関係や援助を求め、対話を重視する姿勢を示しており、今回の「勝訴」を振りかざすことは考え難い。  とはいえ、中国にとって今回の仲裁裁判所の裁定は外交上の痛手ではあり、それを無視して南シナ海の支配と要塞化を推進することは得策ではあるまい 最大の貿易国として、対外友好関係が必要な中国が近隣諸国や米国との関係悪化を冒してまで、南シナ海の確保をはかる第一の理由は、軍事面から見れば弾道ミサイル原潜の待機水域の確保ではないか、と思われる。  中国は1980年代初期から米国が「夏型」と呼んだ初歩的な弾道ミサイル原潜1隻(射程2000km台のミサイル12基搭載)を持ち、黄海最奥部の遼東湾に配備していた。建造した葫芦島造船所の側で整備に便利だし、当時の仮想敵はソ連だったからシベリア東部の目標に近いという利点もあった。今日、中国は射程約8000kmの弾道ミサイル「巨浪2型」12基を積む「晋型」原潜(8000t)4隻を建造したと見られ、それらは海南島三亜市の基地に配備されている。  遼東湾の水深は25m程の浅さで、「晋型」原潜は全長13mのミサイルを船体内に立てて積むから、船底から司令塔の頂部までの高さは20m以上ありそうだ。黄海北部も浅いから延々と浮上航走しないと出撃できず、丸見えになってしまう。その点南シナ海は深いから海南島の基地から出ればすぐに潜航できる。  だが海南島は前面の海が広く開いているから、航空攻撃を受けやすく、外国の潜水艦の接近も容易だ。このため海南島の南東約300kmの西沙諸島の永興島に3000mの滑走路を造り、戦闘機や対空ミサイルを配備し、海南島の守りを固めてきた。  それには一応の軍事的合理性があるものの、そこから約1000kmも南の南沙諸島に無理をして飛行場を造っても、永興島の戦闘機の戦闘行動半径ぎりぎりで相互支援が難しく、有事の際には孤立しそうだ。
弾道ミサイル原潜の待機海面として 米国にとって南シナ海は極めて重要
 米国は経済関係が極めて重要な中国に対し、Containment(封じ込め)を狙わずEngagement(抱き込み)を目指すことを基本戦略にしているが、同時に将来万が一の対決を視野に入れ、米海軍は中国の弾道ミサイル原潜を撃破する能力を保持しようとしている。  沖縄の嘉手納基地から発進する対潜哨戒機P3Cや新型のP8A、電子偵察機EP3Eなどによる南シナ海の監視を行い、海洋調査船による水中の音波伝播状況のデータ収集も行っている。  対潜水艦作戦ではパッシブ・ソナー(聴音機)で潜水艦の出す音を捉えるのが基本だが、水温や水深、潮流、海底地形などで音の伝わり方は変わるから、日頃精密な調査をしておく必要がある。  また潜水艦を識別するため、個々の艦が出す音を収録し「音紋」としてデータ化しておくことも行われる。それには米国潜水艦が相手の基地近くに潜入し、個々の艦の出港を確認しつつ録音するようだ。  中国側にとってはこれは当然不愉快だから公海上や、その上空でも米側の情報収集活動を妨害しようとし、中国戦闘機が哨戒機に接近して威嚇したり、海洋調査船を中国艦船が取り囲んで進めなくするなどのトラブルが起きている。  2001年4月には海南島の東南約110kmの公海上で、米海軍の電子偵察機EP3Eが中国海軍航空隊のF8II戦闘機と空中衝突し、戦闘機が墜落し操縦士が死亡、偵察機は海南島の中国基地に緊急着陸する事件も起きた。  中国の「晋型」原潜に積む「巨浪2型」弾道ミサイルは開発が難航し、まだ搭載されていない様子だし、最大射程は8000kmとされるから南シナ海から発射しても米本土に届かず、米国東岸を狙うにはアリューシアン列島付近まで進出する必要がある。  だが中国は直接米本土に届く「巨浪3型」ミサイルを開発中と見られ、そうなれば弾道ミサイル原潜の待機海面として南シナ海は戦略上極めて重要となる。  米国はアラスカ沖に弾道ミサイル原潜を待機させているが、ロシアは制海権を取れないから、守りやすいオホーツク海と白海(スカンジナビア半島の北)に隠していた。中国も南シナ海をそれと同様にしたいのだろう。
日本にとって得策なのは 米中に妥協、和解を求める姿勢
 米国は中国の南シナ海での行動を「国際法違反」と非難するが、米国は国連海洋法条約に署名すらしていない。この条約は米国が第2次世界大戦後、当初一方的に行った領海12海里(それまでは3海里)の宣言や、その外側に12海里の接続水域の設定、200海里の排他的経済水域、大陸棚の事実上の領有などを全て公認し、大陸棚の水深も当初は200mまでだったのを、地形によっては2500mまでとするなど、米国の要求をほぼ全て盛り込んだ。  それでも海底油田を狙う石油業界には不満があり、レーガン政権は署名しなかった。日本では「議会の反対で批准しなかった」との報道(7月6日読売新聞朝刊など)もあるが、これは誤りだ。  米国は南シナ海問題について「航行の自由」を掲げているが、米国の商船、漁船が南シナ海を通ることは少なく、米国の言う「航行の自由」は実は「偵察活動の自由」に近い。米国では「南シナ海のシーレーンを通る米国の貿易額は1兆2000億ドルにのぼる」との論も出るが、その大半は中国との貿易だろう。中国が自国にとって重要な商船の航行を妨げたことはないし、将来もまずあるまい。  領海や接続水域であっても外国の艦船の通航は基本的には自由で、民間船舶だけでなく軍艦にも領海の「無害通航」が認められている。  他国の領海を通る際には威嚇的行為や、兵器を使っての訓練、情報収集、漁業などをしてはならず、潜水艦は浮上しなければならないが、沿岸国に許可を求める必要はない。だが中国は軍艦に関しては事前の許可が必要、としている。  米国は南シナ海問題では中国に厳しい姿勢を見せているが、これが全面的対立に発展することは望んでおらず、6月末に始まった環太平洋合同演習(リムパック)に中国海軍を招待し、中国艦5隻が参加している。  昨年10月27日には米駆逐艦ラッセンが南沙諸島のミスチーフ礁から12海里以内を中国に無通告で通り、領海と認めない態度を示したが、その直後の11月3日にはソマリア沖からスエズ運河を通って帰国途中の中国軍艦3隻がフロリダ州のメイポート海軍基地に入港、初の大西洋での米中共同訓練と交歓行事を行った。両国の海軍の要人同士の往来も頻繁に行われている。  米中双方が関係悪化を望まない以上、何かの落し所はあるはずだ。中国が米国に届く弾道ミサイルを搭載した原潜を配備するのは、米国にとり潜在的脅威ではあるとしても、米国が主導して成立した核不拡散条約で中国の核保有を公認した以上、中国が英、仏と同様に4隻程度の弾道ミサイル原潜を持ち、うち1隻を常に海中待機させる最小限度の核抑止力を持つことは容認せざるをえないだろう。  南シナ海の北部、海南島沖の待機海面では米軍は情報収集活動を慎み、一方中国は南沙諸島には戦闘機を配備せず、米軍艦の通航を妨げない、という程度の妥協は可能ではあるまいか。  日本にとっては昨年の輸出の23.1%が中国(香港を含む)向けで、米国が20.1%だから、米中の対立が激化し、双方の経済が麻痺するような事態になれば致命的打撃だ。対立を助長するような行動は百害あって一利もない。およばずながら、米中に妥協、和解を求める姿勢を示すことが得策と考える。

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武力衝突の可能性高まる=南シナ海判決、中国に打撃―米専門家

(2016/07/14-08:53)JIJICOM

http://www.jiji.com/jc/article?k=2016071400130&g=int

 【ニューヨーク時事】米保守系シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ政策研究所のマイケル・オースリン日本部長は13日、インタビューに応じ、南シナ海問題をめぐり仲裁裁判所が下した「中国敗訴」の判決に関し、中国が現在の行動を改める見込みは薄く、武力衝突が起きる可能性がむしろ高まったと警告した。  中国の主張をほぼ全面的に退けた判決について、オースリン氏は「法的に中国に大きなダメージを与えるものだった」と分析。「中国は今、国際社会から外れた所にいるように見える」と同国の孤立ぶりに言及し、判決が中国に「政治的にも打撃となった」との認識を示した。  ただ、中国は判決を無視する姿勢を公言。人工島での軍事施設増強や、東シナ海に続く南シナ海での「防空識別圏」設定など、対抗措置を取ることも懸念されている。オースリン氏は、判決が出たことで武力衝突の可能性が「以前よりも間違いなく高まった」と述べた。 

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【緊迫・南シナ海】比政府、「紙くず」発言で対中配慮を転換か 15日からの国際会議ASEMで仲裁裁定を議題に
産経新聞 2016.7.14 17:57更新 産経新聞 http://www.sankei.com/world/news/160714/wor1607140035-n1.html  【シンガポール=吉村英輝】フィリピン外務省は14日、声明を発表し、モンゴルで15〜16日に開かれるアジア欧州会議(ASEM)首脳会議で、中国を相手取り比側が「全面勝訴」した、南シナ海をめぐる仲裁裁判所の裁定を取り上げ、「関係当事者が裁定を尊重する必要性」を訴える方針を明らかにした。  フィリピンのヤサイ外相は12日、仲裁裁定について「内容を精査する」とし、中国に一定の配慮を示していた。だが、中国は13日、フィリピンに対し、「裁定を紙くずと認識して棚上げし、交渉のテーブルにつくことを希望する」(外務次官)と表明。これを受け、南シナ海問題への「ルールに基づく対応」をASEMの場で訴えることにした。  今回のASEMは先月末に発足したドゥテルテ新政権にとり「初の国際会議」で、ヤサイ氏が大統領の代理として出席する。

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Astronomy Picture of the Day


Discover the cosmos! 2016 July 14 See Explanation.  Clicking on the picture will download
 the highest resolution version available. NGC 1309: Spiral Galaxy and Friends(NGC1309:渦巻銀河と友達)

Image Credit: Hubble Legacy Archive, ESA, NASA; Processing - Jeff Signorelli

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妻純子の状況:

サチレーション100、ハー

トレート85±10、体温36.8℃で安定中。

他は、変化なし。

・・・・・本日は、これまで・・・・・

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