2011年2月27日日曜日

武者錬司氏の致命的な欠陥

@hosinoojisan

武者錬司氏の致命的な欠陥
JBpress誌で、『地政学が日本経済に味方、「失われた20年」がいよいよ終わる』というタイトルで、武者錬司氏の記事が掲載されているが、日本経済の先行きに明るい話題を提供したという点では、評価するが、致命的ともいえる2つの問題があるので、専門的な批判は、政治学者や経済学者に任せるとして、私の見方を記述しておきたい。
 それは、アメリカが、ビンの蓋を決して開けないという事と、日本の「国力」の問題である。
 国力とは、一般に、軍事・経済・科学・技術・文化・情報・国民などの能力・影響力等の総合力のことを言うが、とりわけ、国民の能力・影響力(国民の購買力等)の比重が高いと言えよう。
 世界の中には、軍事力面のみ見れば、国力があるかのように見えるが、いわゆる軍事政権下では、国民生活は破壊されており、国力という視点から見れば、「国力」が高いとは言い難い。
 GNP世界一で、アメリカ以外の国の軍事費合計より、多額の軍事費を使っているアメリカは、現在のところ、「国力」第一位と言えるが、経済破綻で、徐々に低下しつつある。
 日本はどうかと言えば、経済の低迷と国民所得の大幅な低下で、OECD各種指標で最下位に近いので、「JAPAN As No.1]と言われた時期とは、相当評価が下がっていると言えよう。
 このような中で、中国やロシアが、「領土問題」で、有利に進めようとした動きが出てきたのである。
 経団連を中心とする経済界の人々は、この点が理解できていないようである。
 軍国主義を鼓舞する気はさらさらないが、平和憲法下で、軍事力を持たず、「国力」を上げるためには、「国民生活」の向上以外には、達成できないであろう
 アメリカは、対日戦略として、プラザ合意以降、日本経済を、失われた20年という経済低迷期に引き落としたが、軍事力と同じように、経済力のビンの蓋をしたのである。
 経団連や経済人の多くは、この点を見落としていると言えよう。
 日本の経済力を上げるためには、「国民の購買力を挙げ、少なくとも、中流社会」を作り上げるため、経済界が、200兆円を超える内部留保等を使って、国民生活の向上を図って、国力を上げる以外、未来はないと言っておきたい。
 この点の指摘がないのが、武者錬司氏の致命的欠陥の一つである。
 もう一つの欠陥は、日米安保体制における、「ビンの蓋」解消論である。
 アメリカが、対中戦略として、日本の軍事力の「ビンの蓋」を開けるかのような見解である。
 言っておきたいが、アメリカは、決して「ビンの蓋」を開けない
 日本の科学技術力等は、アメリカを凌駕しており、中国とは、雲泥の差であることを、アメリカは、見すえているからである。
 この点は、武器輸出3原則の緩和要求や、TPP加盟押し付け等で明らかであろう。
 アメリカは、自衛隊を、PKF等に参加させ、アメリカ人の代わりに、日本人の血を流させようとしているのである。
 吸血蝙蝠が、血を吸うように「ビンの蓋」に小さな穴をあけ、ストローで、吸い尽くそうとしているのである。
 日本経済が本当に発展するためには、軍事的・経済的「自立」を確立する以外に、活路はないという事を肝に銘ずるべきと言える。
 「明るい希望」を与え、夢を売るのは結構だが、「間違った」方向へ、日本国民を誘導することは許せないと言えよう。

 以下に、武者錬司氏の記事を記録しておきたい。
 かなりの長文なので、全文記録ははばかるので、必要部分は、記録しておこう。

2011.02.21(Mon)  武者 陵司
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/5487
「・・・・・略
アメリカからの要求と円高に対応していく過程で、賃金だけでなく流通コストや公共料金などが大きく低下し、日本は世界一の高物価国から、世界有数の低コスト国に生まれ変わり、日本企業は著しくスリムになった。
 また海外に生産をシフトしたことで、日本は輸出基地から世界経営の本社へと機能を変えており、いまや日本企業が海外で膨大な雇用を生む状況になった。加えて日本企業はハイテク素材や部品、装置などで技術優位を獲得した。
 これらの、困難な時代の努力の成果は、2010年代、地政学環境が変化する中で顕在化してくるはずである。もはや日本を押さえ込む過度の円高は起きようもない。
「失われた20年」が終わり順風が吹く時代に
 このように見てくると、蔓延する悲観論とは全く逆に、日本経済の底流には、多くの明るい要素があることが分かる。「失われた20年」に陥ったのは、バブル以前の身の丈を越えた繁栄のツケを払わなくてはならなかったからである。しかし、ツケを払い終わり、新たな順風が吹く時代に入りつつあると考えられる。
 鍵となる地政学環境は急変している。中国の経済躍進と軍事・政治プレゼンスの急速な台頭を受けて、覇権国アメリカが本腰を入れた対応に動き出した。中国という巨大な国に対抗するためにアジア最大の民主主義国である日本との同盟の再構築に着手したのだ。
日米安保体制は、もはやビンのふたの時代ではなくなったのである。日本を封じ込めてきた過度の円高など、逆風は止み、順風が吹き始めるだろう。
 2011年、米国と世界景気の回復が確かとなり、米国株高と同時に円高がピークアウトし、大きな円安のトレンドが始まる。
 これに地政学環境の順風が加われば、企業収益の回復、賃金上昇、株価・地価の上昇、円高・デフレ傾向の反転が連鎖的に起こり、われわれが目にしている経済風景は一変するだろう。日本が再び繁栄する姿を見られるはずである
 
ブログ記載後、この記事に遭遇したので、取り急ぎ、反論しておきたい。
・・・・この項終わり・・・・

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