2011年5月19日木曜日

地震と操作ミスにも拘らず、 海江田経済産業相、「地震でなく津波」発言 菅首相も、G8で同種発言の模様。原発推進派の反撃?

木村建一@hosinoojisan

地震と操作ミスにも拘らず、
海江田経済産業相、「地震でなく津波」発言
菅首相も、G8で同種発言の模様
原発推進派の反撃?背後にアメリカ・フランスの原発マフィア

 海江田経産相が、記者クラブで、今回の福島原発事故は、「地震でなく津波」が原因であると話したようである。
 あとで、紹介するが、2号炉のベント作業の失敗等でも明らかなように、今回の事故の直接的原因は、地震による外部電源の遮断と、「コスト優先の操業マニュアル」による人為ミスであることが明らかになってきている中での発言である。
 これは、看過できない。
 この動きから、アメリカやフランスの原発推進マフィアの圧力で、「原子力村」の勢力が、原発推進ののろしを上げ始めたとみるべきであろう。
 菅首相の浜岡原発一時休止が国民によって評価されていたが、財界と官僚の策謀で、政治家が、背後のアメリカやフランスの原発マフィア動揺し、原発推進に舵を切り始めたとみるべきであろう。
 こうなると、5度(広島、長崎、福竜丸、福島)日本国民を被爆者にさせない運動の強化で、対抗せざるを得ない。
 良心ある、民主党、自民党、公明党、国民新党の諸君はもとより、日本共産党や社民党の皆さんの奮起を促したい。
 ダイヤモンドオンラインに、浜岡休止問題に対する貴重な見解が述べられていたので記録しておく。
 又後段に、共同通信の2号炉爆発の経過がわかる記事があったので、これも記録しておきたい。

ダイヤモンドオンライン 【第170回】 2011年5月18日
坪井賢一 [ダイヤモンド社論説委員]
http://diamond.jp/articles/-/12304

福島原発震災 チェルノブイリの教訓(7)
菅首相の「浜岡原発停止要請」は唐突ではない
~阪神大震災の教訓から誕生した地震調査研究推進本部の研究成果が初めて原発事故抑止に生かされた

 
 「チェルノブイリの教訓」も「福島の教訓」も、まったく意に介さない日本のリーダーの発言にはあきれた。
 首相による浜岡原発全原子炉停止要請について、5月9日の日本経団連・米倉弘昌会長の記者会見には本当に驚いた
 まず日本経団連のホームページから当日の会長発言要旨を引用してみる。
-----------------------------------------------------------------記者会見における米倉会長発言要旨
2011年5月9日
(社)日本経済団体連合会
【浜岡原発の全面停止要請について】
今回の政府の要請には、唐突感を否めない。国民が理解できるよう、要請に至った議論の経緯や根拠などを十分に説明すべきである。また、国民生活や企業活動が影響を受けることのないよう、政府は対応すべきである。また、世界各国は日本のエネルギー政策を注視しており、政府には、責任感をもった取り組みが求められる。
-----------------------------------------------------------------

 テレビのニュースで会見を見たが、米倉会長は話し言葉では次のように言っていた。
 「事故対応は極めて拙劣」
 「民主党政権になってから、結論だけが(ふふん)ポロっと出てくる。思考の過程がブラックボックス」
 「停止要請の根拠が、今後30年間に87%の確率で東海地震が起きることと言うが、確率論だけで停止要請は唐突」

 筆者が驚いたのは、鼻でせせら笑いながら大勢の記者の前で話していたことだ。
 菅首相のステートメントが説明不足といえばそのとおりだが、停止要請の根拠である「東海地震の発生確率87%」とは、政府自身が十数年前から公表しているものである。三陸沖の地震発生確率が低かった(三陸沖から房総沖の海溝寄りの津波地震は10年以内に7%)ので、「いい加減」とか、「他の原発だって同じだろう」とも言われている。
 しかし、日本列島はプレート(大洋底)が4枚折り重なる火山・地震列島であり、どこで大地震が起きてもおかしくないことはだれでも知っている。
 この2枚の地図を見れば、大地震の影響を受けない地域など、日本列島には存在しないことがわかるだろう。
日本周辺のプレート分布図】(海上保安庁ホームページより)

日本周辺の震央分布図】(気象庁ホームページより、M4以上、1990-2000年)

 なかでも東海地震に関しては、観測・研究がもっとも進んでいる想定震源域である。先端的な観測網が整備され、日本で唯一、地震の直前予想が可能な地域だ。
 福島原発震災の惨状を見れば、二昔前から巨大地震発生が急迫しているといわれている東海地震震源域のど真ん中に立地する浜岡原発を、まず先に停めようという判断は唐突ではない
 首相官邸のホームページから、浜岡原発停止の根拠の部分を引いてみる(5月6日)。
-----------------------------------------------------------------【管内閣総理大臣記者会見・冒頭発言】
5月6日より(前略)文部科学省の地震調査研究推進本部の評価によれば、これから30年以内にマグニチュード8程度の想定東海地震が発生する可能性は87%と極めて切迫をしております。こうした浜岡原子力発電所の置かれた特別な状況を考慮するならば、想定される東海地震に十分耐えられるよう、防潮堤の設置など、中長期の対策を確実に実施することが必要です。国民の安全と安心を守るためには、こうした中長期対策が完成するまでの間、現在、定期検査中で停止中の3号機のみならず、運転中のものも含めて、すべての原子炉の運転を停止すべきと私は判断をいたしました。(後略)
-----------------------------------------------------------------

 「防潮堤」がポイントになっているが、中部電力によれば「防潮堤」ではなく、「防波壁」である。首相発言でも新聞各紙の記事でも大半が「防潮堤」としているのは間違い。中部電力は明確に「防波壁」と資料に書いている。違いは「堤」と「壁」だから、厚さだろう。壁ではすぐに破壊されそうだが、これは東北沿岸の被害状況の研究が進めばすぐにわかるはずだ。
 もっとも、浜岡の場合は東海地震震源域の真ん中なので、津波よりも地震の揺れそのもののほうが重要だということを忘れてはならない。
 最大の停止要請の根拠は、地震調査研究推進本部の評価である。この政府機関についてよく知られていないので、「唐突」という感想が続出したのではないか。
 「唐突」だと言ったのは日本経団連会長だけではなく、新聞各紙の5月7日付き社説にも頻出した。
 たとえば、「停止要請は唐突と言わざるを得ない」(「日経」)、「やや唐突」(「静岡」)、「首相の停止要請は唐突で」(「東奥日報」)、「発表も唐突すぎる」(「岐阜」)などだ。
 5月10日付きの各紙社説にはさらに「唐突」が増えた。「唐突に首相から提起」(「毎日」)、「事前調整もなく、あまりにも唐突だった」(「読売」)、という具合だ。
 こんなにたくさん「唐突」の文字を見たのは初めてだ。しかし、地震調査研究推進本部の存在と研究成果を知っていれば、別に唐突ではない。同本部のホームページには、設立の経緯が次のように記されている
------------------------------------------------------------------
地震調査研究推進本部はこうして生まれました
平成7(1995)年1月17日に発生した阪神・淡路大震災は、6434名の死者を出し、10万棟を超える建物が全壊するという戦後最大の被害をもたらすとともに、我が国の地震防災対策に関する多くの課題を浮き彫りにしました。
これらの課題を踏まえ、平成7年7月、全国にわたる総合的な地震防災対策を推進するため、地震防災対策特別措置法が議員立法によって制定されました。
地震調査研究推進本部は、地震に関する調査研究の成果が国民や防災を担当する機関に十分に伝達され活用される体制になっていなかったという課題意識の下に、行政施策に直結すべき地震に関する調査研究の責任体制を明らかにし、これを政府として一元的に推進するため、同法に基づき総理府に設置(現・文部科学省に設置)された政府の特別の機関です。
------------------------------------------------------------------

 「阪神大震災の教訓」をもとに誕生した常設の政府機関で、年に4、5回開催される地震予知連絡会とは違う。
 世界一といわれる日本の地震研究の成果が防災機関に伝達されていなかったことを反省材料に設立された政府機関であり、大地震の発生確率など、さまざまなデータを16年前から公表している。すべてホームページに掲載してあるので、だれでもアクセス可能だ。
 地震発生確率の推計と根拠はここにある。
 首相のステートメントは唐突なのではなく、地震調査研究推進本部が設立されて16年にして、初めて「政府として一元的に」地震研究と原子力発電のリスクが結びつけられた結果なのである。むしろ、16年間も地震学者の警告を政府自ら無視していたことのほうが問題だ。
 浜岡原発停止を機に、地震調査研究推進本部と防災機関は協力して全国の原発立地と地震研究を結びつけ、リスクを低減する方法を早急に公表すべきだ。少なくとも、全国調査の工程表を作成し、発表しないと、原発立地自治体は運転再開を受け入れないだろう
 もちろん問題はある。原発事故の防災機関は経産省原子力安全・保安院と文部科学省原子力安全課だが、電力会社との癒着ぶりを国民は知ってしまったから、まったく信用されまい
 原子力災害が起きると、原子力災害特別措置法に基づいて政府の原子力災害対策本部が霞が関と現地に設置される。即座に「原子力防災専門官」が派遣され、各機関の調整に当たることになっている。この専門官が重要なはずだが、読者のみなさん、ご存知でしたか。
 また、内閣府の原子力安全委員会は原子力災害対策本部に対して助言し、ただちに現地対策本部に入ることになっているが、たしか4月まで原子力安全委員のだれ一人として福島入りしていなかったはずだ。現在は一人、原子炉メーカー出身の委員が常駐している。
 国民が信頼するに足る人物を原子力安全委員長に据え、地震調査研究推進本部の専門家代表とともに全国の原発と地震リスクを評価すべく、経産省と文科省の官僚機構へ指示し、監督する体制が望ましい
 菅首相は5月10日の記者会見で、さらに重要な方針を発表している。
 まず、政府のエネルギー基本計画を作成しなおすということ。首相発言ではこうなっている。
 「(記者の質問に答えて)現在のエネルギー基本計画では、2030年において総電力に占める割合として、原子力が50%以上、再生可能エネルギーは20%を目指すとなっております。しかし、今回の大きな事故が起きたことによって、この従来決まっているエネルギー基本計画は、一旦白紙に戻して議論をする必要があるだろうと、このように考えております。」
 要するに原発を縮小させるということだろう。大きな政策転換である。担当部局は経産省資源エネルギー庁総合政策課だ。「白紙に戻す」と首相が発言しているわけだから、国民は資源エネルギー庁の動向を注視しなければならない。
 第二に、福島原発事故の調査委員会をようやく発足させることだ。
 首相発言は次のとおり。
原子力事故調査委員会を発足させるための準備を現在進めております。この原子力事故調査委員会を発足するに当たって、3つの基本的な考え方が重要だと考えております。一つは、従来の原子力行政からの独立性。つまりは、そうした過去の関係者ではなくて、そういうところから独立した判断ができる方を中心になっていただくという独立性であります。第二には国民の皆さん、あるいは国際的にも事実をしっかりと公開するという公開性であります。第三番目には包括性が必要だと考えております。つまりは技術という分野だけではなく、いろいろな制度やいろいろな組織的な過去の在り方が、どのような影響を今回の事故で及ぼしたのか。そういう分野も含めた包括的な検討が必要。独立性、公開性、包括性という3つの原則で、この事故調査委員会を立ち上げるその準備を進めております
 今後、ジャーナリズムの大きな役割は、独立性、公開性、包括性を約束できる能力のある事故調査委員長、および委員の人選を監視することだ。人選の途中でも、候補者の「身体検査」は極めて重要になる。名前を見ただけで結論がわかるような癒着人事では、世界中から批判されることになろう。
 もう一つ、東京電力の賠償問題に端を発し、これから電力事業再構築の検討が進むことになる。この点については稿を改めて報告したい。

共同通信の記事

東電、2号機でベント2回失敗 圧力下がらずプール破損か

2011/05/18 18:27 【共同通信】
http://www.47news.jp/CN/201105/CN2011051801000828.html
 福島第1原発事故で、2号機の原子炉格納容器の圧力が上昇した際、東京電力が内部の蒸気を外部へ放出して圧力を下げる「ベント」という作業を3月13日と15日に試みたが、2回とも圧力が下がらず失敗していたことが18日、東電関係者への取材で分かった
 圧力上昇を防げず、格納容器につながる圧力抑制プールが破損した可能性が高い。2号機からは大量の放射性物質が放出され汚染水も発生。原子炉の安定停止作業は難航しており、東電の危機管理態勢が問われそうだ
 ベントで放出される蒸気には放射性物質が含まれるが、格納容器が破損すると極めて大量の放射性物質が外部に出る恐れがあり、それを防ぐ重要な措置。国からベント実施命令も出た。
 ベントは、格納容器から外に出る配管に設置された二つの弁を開け、外側にある薄いステンレス製の「ラプチャーディスク」が内部の圧力で破れるようにし、蒸気を放出する仕組み。
 東電によると、地震発生2日後の3月13日午前11時に二つの弁を開けたが、格納容器内の圧力が低下せず、周辺の放射線量も上昇しなかった。15日午前0時2分には別系統の二つの弁を開けたが圧力は下がらなかった。
 東電が公表した原発の運転データに関する資料にも圧力が低下しなかったことが記録されている。資料で東電はベントされたかはどうかは不明と断定を避けているが、東電関係者は2回とも失敗と判断していると明かした。
 2号機のラプチャーディスクは設計上、約5・3気圧で破れる格納容器内は1回目は約3・8気圧、2回目は約7・4気圧で、ディスクが破れたかは不明。また2回目は弁が数分後に閉まった。弁を開け続けるにはバッテリーが必要だが、電池切れになっていた可能性もある。
 15日午前6時10分に圧力抑制プール付近で爆発音がし、第1原発正門の放射線量は、午前6時の毎時73・2マイクロシーベルトから3時間後には1万1930マイクロシーベルトに上昇。原子力安全委員会は「圧力抑制プールの破損が原因」との見方を示している。
 1、3号機ではベントを実施、ベント後の正門の線量は281・7~385・5マイクロシーベルトだった。
 東電は「ベント失敗の原因や、圧力抑制プール破損との関連は検証中」としている。
2011/05/18 18:27 【共同通信】
 
 以上、2つの記事からも、原発推進派は、国民の支持を得られないであろう。
 東電のCM費450億円に群がってきた朝日新聞や読売新聞、日経新聞、そして、毎日新聞や産経新聞等マスメディア各社のCEOは、いい加減に目を覚ますべきであろう
 
・・・・本日は、これまで・・・・

0 件のコメント:

コメントを投稿